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映画泥棒が出てくるとき。

4連休が明けたあとの火曜日である。

いったいこの4連休、自分はなにをしていたのだろうか。考えても考えてもたいした答えは浮かばない。映画を1日2本ずつ観て、あとは寝て、2時間の犬の散歩をしていただけである。ちなみに夜から朝方にかけてぼくが映画を観ている横で犬は、だいたいこんな恰好をしている。

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映画といえば最近、つまらないなあ、と思うことがある。

たとえばこの週末、シャーリーズ・セロン主演の『モンスター』を観た。公開当時に観逃していた映画で、いまさらながらにようやく観た。いやいや、まったくすごい映画だった。

で、観終えるとぼくはスマホを拾い上げ、「モンスター 映画」などの語で検索をはじめてしまう。みんながこの映画をどう観たのか、どのような評価がなされているのか、情報収集してしまう。小説を読んでそれをすることはないのに、なぜだか映画ではみんなの声(世間の評価)を検索してしまう。

きっとほかの人も同じようなことをしているのだろう、関連検索候補には「モンスター ○○」と映画評論家の名前が出てきたり、映画解説で有名なラジオ番組の名前が出てきたりする。さすがにぼくはそこまで追いかけはしないけれど、「あの人」の評や解説をなぞることによって、ようやくなにかを思ったり考えたりすることができる、という人が増えているのだろう。


黒澤明さんは、盟友ともいえる映画評論家・淀川長治さんについてこう語っている。

「まあ、ぼくがいちばん言いたいことはさ、映画を観るときはごく素直に、自然に観てほしいってことだね。だから淀川くんみたいにさ、『きれいね。あそこ、きれいね』っていうふうに観るのがいちばんだよ。悲しいところでも、美しいところでも、たのしいところでも、『きれいね』って、あの人言うよね。あれこそほんとうに映画が好きな人の見方だって、ぼくは思うよ」

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「NO MORE 映画泥棒」のあの人、ほんとはエンドロールのあとにこそ出てきて「ほかの人の感想ばかり検索してると、逮捕されるぞ!」ってやるべきだよね。