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がんばってる人たちよ。

いま、オフィスでコーラを飲んでいる。

とても好きな飲みものだけれども、飲む機会は意外と少ない。ペットボトル飲料を買うときのぼくは、「猛烈に喉が渇いている」か「でたらめに寒い」かの、いずれかだ。前者であれば大容量の麦茶を買い、後者であれば紅茶やホットレモネード的なやつを買う。いずれにせよコーラの出番は少ない。さらにまた、食事に制限をかけることはしないものの、糖分の多い清涼飲料水を飲むことはなんとなく控えている。その意味でもコーラは、わかりやすく「我慢」の対象となっている飲みものだ。

しかしながら疲れたとき、自分にご褒美をあげたいとき、けれども酒を飲んでる場合じゃないとき、ぼくは満を持してコーラを買う。赤いコーラで祝杯をあげたり、おのれをねぎらったりする。きょうなどは、まさにその日だ。べらぼうにうまい。

去年だったか、一昨年だったか。日曜の昼間にテレビを見ていたら、モデルさんへの密着レポート的な番組をやっていた。彼女はさすがに現役モデルというだけあって、ふだんはサラダや低脂肪&低糖質フードばかりを食べ、日課のようにジム通いも続けているのだが、月に一度だったか二度だったか、「チートデー」なるものを設けていた。「この日は好きなものを好きなだけ食う」という日である。

どんだけ食べるんだろうとギャル曽根的な展開を期待していたところ、赤身中心の焼肉をきわめてふつうに食べるだけだったので、若干肩すかしをくらった。しかし、なるほど「チートデー」はいい考えだ、と思った。

コーラでもいいし、ドーナツでもいいし、あんぱんでもいい。日常のなかに「さほど苦もなくできる我慢」を設けておいて、なにかあったらそれを解放してやるのだ。いかにもありがたいご褒美であるかのように。

人間の脳とは単純なもので、いまぼくはうやうやしくコーラを飲んでいる。いま、がんばってる人たちよ。月末の締切に向けて泣きそうになってる人たちよ。だいじょうぶ、おれもだ。おれもがんばっている。疲れたら一緒に、コーラを飲もう。なんならドーナツ、食べちゃおう。