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病院について思うこと。

いろんな本をつくってきてよかったなあ、と思う。

ぼくはこれまで100冊ほどの本をつくってきた。大学教授からスピリチュアルカウンセラーまで、それはそれはいろんな方々の本をつくってきた。どの本についても、たくさんの学びがあった。

お医者さんの本については、これまで3冊をつくった。

もちろん、「○○すると免疫があがる」みたいなインチキ健康本ではない。医療崩壊の現実や、それを踏まえたうえでの医療制度改革を提言する本だ。日本の医療制度の問題点。海外の医療制度と、その理想と現実。いろんなことを勉強した。相当深く、調べまわった。


ぼくがたどり着いたいちばんの問題点は、「日本人は、病院に行きすぎる」だった。それは医療現場の混乱とか、医師不足とか、医療崩壊とか、そういう「医療」そのものの問題というより、もっと個人の心性に関わる問題のように思われた。


たとえばぼくが、鼻をぐずぐずさせながら「最近、風邪っぽいんだよね」と言う。「なんか、微熱もあるしさ」と、おでこに手をあてる。聞いたあなたは、「早めに病院行ったら?」と言う。ごく普通のこととして、そう言う。ぼくは病院に行く。熱を測られ、聴診器をあてられ、喉や鼻を覗かれ、医者に「風邪ですね」と言われる。やっぱり風邪か。ぼくは思う。「お薬、出しておきましょう。お大事に」。診察室をあとにしたぼくは、調剤薬局で5日ぶんくらいのお薬をもらう。「こちらは食後、1日3回。こちらは寝る前に1日1回。もしも熱が高くなったらこちらのお薬を飲んでください」。薬剤師の説明をふんふん聴いて、ぼくは家に帰る。言いつけられたとおりに薬を飲み、風邪は治っていく。


あたりまえに思えるこの一連のなかで、「ぼく」はなにか考えただろうか。自分の体調を考え、原因を考え、調べ、対処策を考え、なにか行動に移しただろうか。なにも考えないまま病院に行き、すべてを「医者まかせ」にしていないだろうか。いちばん大切なはずの自分の身体についてさえ、考えることを「先生」にまかせてしまっていないだろうか。

少なくとも風邪くらいの症状なら、薬局の市販薬で事足りる。薬剤師に相談すれば、ほぼ問題ない。ほとんどの先進国では、それで自らの健康を守っている。健康状態について、自分で調べ、考える癖が、身についている。比べてぼくらの「病院に行きすぎる」が奪っているものは、思いのほかおおきい。


あんまり「オピニオン」とか「ご意見」的なものは、ここに書きたくないんだけれど、今回の騒動をきっかけに少しでも「病院に行きすぎる」があらためられるといいなあ、と思うのだ。