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マジョルカに行ったあの人の話。

サッカーの久保建英選手が、スペイン1部のマジョルカに移籍した。

銀河系軍団レアル・マドリーからの期限付き移籍である。10歳のときにバルセロナの下部組織(カンテラ)に入団した彼は、当時からしばしばメディアにとりあげられていた。地元のカップ戦で得点王とMVPを獲得し、流暢なスペイン語でインタビューに応じる彼の姿は、サッカーファンの多くが目にしてきたはずだ。

これ、じつはけっこう珍しい例である。

久保選手のキャリア(バルサ→FC東京→レアル・マドリー→マジョルカ)が珍しいのは当たり前なんだけど、その「子どものときからみんなに知られている」具合はかなり異例である。思い出される類例としては、そう。卓球の福原愛さんだ。

3歳くらいのころから天才卓球少女としてテレビに出演していた彼女は、おとなになってからもずっと「愛ちゃん」と呼ばれ、「愛ちゃん」としてその選手生活を終えた。「愛ちゃん」であったことは、アスリートとしての彼女にマイナスに働いた部分もおおきかったのではないかと、素人のぼくなどは思ってしまう。

一方、バルサのカンテラ時代からずっと「久保くん」と呼ばれていた久保建英選手は、FC東京に移籍してJリーグ初ゴールを挙げた試合後、メディアに対して堂々と言った。


「これからは『久保くん』ではなく、『久保建英』でお願いします」と。


以来、メディアは彼を「くん付け」することを慎み、彼自身もおおきく育っていった。日本代表入りも果たし、レアル・マドリーへの移籍も果たした。あの宣言がなければ、いまでもメディアは「すごいぞ久保くん!」「スペインで久保くんフィーバー!」みたいな記事を乱発していたのではないかと思う。そしてそれは、彼の足を引っぱったのではないかと。


ぼくは、自分より年少であるというだけの理由から(さほど仲がよいわけでもない)相手を「くん付け」する人が、あまり好きではない。民放テレビ局のアナウンサーが後輩アナウンサーを呼び捨てしている姿も、あまり好きではない。というかこちらは、積極的に大嫌いだ。

なにげない「くん」や「ちゃん」が損なわせるもの、多いと思うのですよ。



ぼくが現在唯一「くん付け」してるのは今井くんかなー。

彼はまあ、「くん」がお似合いだ。