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むかしの企画書、みらいの企画書。

10年以上前、ドストエフスキーの本をつくろうとしたことがある。

当時の企画書を見ると、タイトルは『カラマーゾフの謎』。亀山郁夫先生による新訳『カラマーゾフの兄弟』が大ヒットしたおかげで、出版社に企画が通ったのだった。企画書は、次のような章立てが並んでいる。2007年、夏に書いたものだ。

カラマーゾフの謎

第1章 カラマーゾフの兄弟とは
第2章 人名、地名、数字に隠された謎
第3章 誰が「父」を殺したのか?
第4章 神なき時代の黙示録
第5章 書かれなかった第二の小説
第6章 ドストエフスキーの生涯
第7章 ドストエフスキーを読み解く5つのキーワード

けっきょく、担当編集者と折り合いがつかず頓挫してしまったのだけど、あのときやらなくてよかったなあ、と企画書を眺めて思う。いや、やったらやったで、おもしろかっただろう。でも、明らかに実力の追いついていない、見よう見まねの企画書だ、これは。


いま取り組んでいる本を書き上げたら、次にどんな本を書こうかずっと考えている。そしてじつは、作品名は明かさないけれど、自分なりに現代語訳をつくってみたい日本の古典がある。取り組むには相当の勉強が必要になるだろうけれど、いつかやってみたい古典がひとつある。

そんなこんなを考えているうちに、「そういえばむかし、ドストエフスキーがやりたくてやりたくてたまらなかったんだよなあ」と冒頭の企画書を思い出したのだ。『嫌われる勇気』は相当ドストエフスキーの影響下にあるし。

うーん、ドストエフスキー。漫画原作とかのかたちで関わってみたい気持ちはあるんだよなあ。それこそ『鬼滅の刃』くらいの長さでまとめれば、カラマーゾフでも罪と罰でも、めちゃくちゃおもしろいと思うんです。


あてずっぽうな将来を考えてるときがいちばんたのしいですね。