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青空に感謝を。

どうも自分は、休めないたちなのかもしれない。

またもあたらしい本の企画を考え、そこに関連しそうな資料を読み込んだりしている。しかも厄介なのは「たぶん、やらないんだろうな」と思いながらその企画を考え、関連書を読みあさっているところだ。1パーセントでも、と言うのは大袈裟だとしても、数パーセントの「もしかしたらいつか、このテーマで本をつくるかも」との可能性があったほうが、ぼくはたのしく読書できるし、好奇心の枝もにょきにょき生えていく。きっと「取材」の一環として読んでいくからなのだろう。なので、9分9厘やらないに決まっているテーマでも、心のどこかに「もしかしたら、やるかも」や「やれるかも」の可能性を残しつつ、本を読んでいく。「だったらこれも読まなきゃ」の枝を伸ばすために。

いま、そんな感じで不要不急な本どもを買いあさっていられるのは、お仕事をがんばってきたおかげである。資料としての本を買うくらいには、お金のゆとりができたからだ。20代のある時期、ぼくは本を買うお金にも不自由していた。買える新刊はせいぜい月に1〜2冊の文庫本だけで、単行本が買えないのはもちろん、定期購読していた雑誌もぜんぶ解約して、本の現場から離れてしまった。

けっきょく当時は図書館に通うことが多かったのだけれども、いまだったら違っただろうなあ、と思う。

「青空文庫」に行けば、さまざまな古典を無料で読むことができる。お金がなくて、時間だけは売るほどたくさんあった当時の自分だったら、ここに収められている古典を片っぱしから読んでいったんじゃないかなあ。なんだかんだで面倒だしね、図書館に行くの。

じつは冒頭に書いた企画ってのも「古典」に関するもので、現在何冊も青空文庫さんのお世話になっているのである。

まあ厳選した新潮文庫を10冊も読めば、それだけで人生変わっちゃったりするものだし、「すぐれた古典ほど安い」や「むしろタダ」の文化環境って、とんでもなくおおきな若者支援になってると思うなー。