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わたしの今年の相棒は。

昨年末に、膝を痛めた話を書いた。

痛みの峠は越えたものの、いまだまったく本調子ではない。グラグラして膝の安定がかなわず、グキッと本来曲がるべきでない方向に曲がって、不快な疼痛が走る。それで太ももの筋肉を意識して歩いてみたり、ふくらはぎを意識して歩いてみたり、すねを意識して歩いてみたり、足裏を意識して足指で砂を噛むような歩きかたにしてみたり、いろいろした。若干の改善があったような気もするし、完全なる徒労であったような気もする。

そして年明けに、靴をあたらしくした。

これまでも平素はもっぱら歩きやすいスニーカーだったのだけれども、ただのスニーカーでは埒が明かない。ウォーキング専用の、なるべく膝に負担のかからないスニーカーを買ってみることにした。


New Balance MW1880

正直ルックスは、それほど好きとはいえない。しかしルックス優先で選べる膝を、いまの自分は持ち合わせていない。見た目よりも機能。膝へのやさしさ。それだけを期待して、購入してみた。

これがまあ、大正解だった。ただでさえ軽くて履きやすいニューバランス製なれど、こいつの体感的な軽さは群を抜く。そしてふわふわとやわらかいインソールが、不思議な浮遊感をもたらす。さらに厚め(高め?)のソールが若干の前傾姿勢をつくるというか歩行を後押しする感じがして、膝のグラグラがずいぶんと緩和される。おお、履いていたら段々と、ルックスまで好きになってきたぞお前。

以前からぼくは「鞄と靴の相棒説」というものを唱えていて、日々別のものに着替える服と違い、気に入ったものを毎日持ち続け、また履き続ける鞄や靴は、持ちものや履きものを超えた「相棒」の感をもたらすものと、思っている。それゆえ店頭での服選びが億劫になってきた中年男性も、鞄や靴にはそれぞれの美意識があり、見た目や機能を大事にする。

今年のぼくはしばらくのあいだ、このスニーカーを相棒に生きていくことになりそうだ。


そういえば2年前の年頭には「今年はこのブーツを相棒に生きる」と、鼻息を荒くして履きにくいブーツを履いていたなあ。膝のグラグラが治ったら、ひさしぶりにあいつも下駄箱から引っぱり出してやろう。