旅の終わりに考える。
「またこようね」と、ぼくは言った。
3泊4日の小旅行が終わろうとしているいま、最後の夜に再び、そのことばを噛みしめている。「またこようね」はいいことばだなあ、と思っている。そのこころをわかってもらうには、もう少しの説明が必要だろうこともまたわかっている。犬の寝顔を眺めながら、そのへんを書いていこう。
「またこようね」。
ぼくがそう犬に耳打ちしたのは、初日の夕方だった。
こんなにもたのしいのなら、こんなにもたのしそうにしてくれるのなら、それはもう、さっさとまたくることを約束してしまおう。旅の全日程が終わってから「またこようね」と帰路につくのではなく、またくることを前提に、残りの旅を味わおう。
またくることがわかっていれば、旅のなかから「せっかく来たんだから」が減っていく。せっかく来たんだからあそこにも行こうとか、あれもしておこうとか、これを買っておこうとか、そういう「いらないかもしれない思い出づくり」が減っていって、むだなことや馬鹿なこと、もったいないことが、たくさんできるようになる。
3日目のきょうも、初日&2日目とまったく同じことをしてあそんだ。
まったく飽きないし、「せっかくの旅なのにもったいない」とも思わない。
だって、またくるのだから。
それはもう、最初からの約束なのだから。
存分にあそんだぼくらは、明日東京に帰ります。お仕事まわりでご迷惑をおかけしたみなさま、週明けからの古賀史健におまかせください。またいつか旅する日まで、じゃんじゃん働きますので。
じゃ、帰ろっか。よくあそんだね。ありがとね。