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ちいさな合宿を終えて。

きのうの note に書いていた合宿が終了した。

今週ひとつ(正確にはふたつ)仕上げなきゃいけない原稿があるので実際に動くのは来週からになるけれど、とりあえず「あとは書くだけ。余地が残された部分は書きながら考えるだけ」と思えるところまで練り上げることができた。編集者の柿内芳文氏とふたり、チェックインした午後2時から深夜の3時まで、あいだに各々の作業や沈思黙考の時間をはさみながら、たっぷりと話し合った。『バーフバリ』の話をしたり、『ダークナイト』の話をしたり、漫画『キングダム』の話をしたり、脱線という名の近道をつかいながらめざす先を考え、一夜明けた今朝も、おかゆの和定食を食べながらあれこれ話し合った。原稿を読み返すときもそうなのだけれど、こういう打ち合わせも「ひと晩置いてから話し合う」の時間を設けたほうが、意外とおもしろいところにたどり着けたりするものだ。

ぼくにとっての柿内芳文という編集者は、ひと言でいえば「あらゆるタイミングで『こういうものが読みたい』のリクエストを出してくる人」である。

その(ときにむちゃくちゃな)リクエストに対し「あなたはそれを読みたいかもしれないけれど、おれはそんなの書きたくないし、きっと読者も求めてないと思うよ」とならず、むしろ「言われてみればそれ、おれも読んでみたいかも」と思わされてしまうのは、彼が優秀な編集者である証拠だろう。彼はいつも、視野狭窄になりがちな書き手を「その本の読者」に引き戻してくれるのだ。


できることならこのさき一生、文章の本なんて書かなくてすむような、10年後や20年後の自分が読んでも「大事なことはここに全部書いてある」と思える本にしたいと思っています。

もしかしたら佳境に入ったとき、もう一度くらい合宿するのかな。