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飲んだら書くな、書くなら飲むな。

年に何度か、破りたくなる禁忌がある。

お酒だ。酒を飲むことだ。いや、別に禁酒しているわけでもないから、そこは普段から自由に飲んでいるのだけど、仕事中の、平日の昼間っから酒を、飲んでみたくなるのである。「くぅー、いまここで飲んだら、気持ちいいだろうなあ」と。

飲めばいいじゃん、と言う人は多いだろう。会社勤めでもないんだし。フランス人なんて、水の代わりにワインを飲んでんだよ。ビジネスランチにワインが付いてくるのも普通だよ。そんなふうに切り捨てる人だっているのかもしれない。

でも、違うのだ。

まず言うと、飲みたいのはワインじゃない。ぼくが仕事中に飲みたくなるのは、決まってビールである。よく冷えた(できればホワイトエールの)ビールを、ガーッと飲みたい。おいしい食事に合わせておいしいワインをたのしむのではなく、なんにも関係ないタイミングのいま、飲みたい。舌の「うまい」ではなく、喉とハートの「!!!!」がほしい。そういう瞬間が、年に何度かやってくる。

そして酒を飲むとぼくは、まったく仕事ができなくなる。缶ビール一杯であっても、もう仕事にならない。泥酔しているのでもないし、酒はわりと飲めるほうだと思うけど、アルコールの入った頭で仕事をするのは絶対に無理だ、ぼくの場合。

つまり、昼間から酒を飲むのはぼくにとって、「昼間で仕事をやめる」に等しい。「くぅー、いまここで飲んだら、気持ちいいだろうなあ」の独言は、「くぅー、いまここで切り上げたら、気持ちいいだろうなあ」の変奏なのである。


じつは本日、ぼくはお休みをいただいている。体調不良による欠勤ではなく、宿に泊まってのんびりしている。なので本来であれば今日なんか白昼堂々と酒を飲んでもよかったのだけど、何度か飲みたくなったのだけど、けっきょく飲めなかった。こころのブレーキが働いた。

それはきっと宿でも仕事をするつもりだからなのだし、実際仕事をしてしまっているし、しないと間に合わないし、いったいおれはなにをしているんだろうと思わなくもない。


まあ、犬と「お泊まり」に来てるんですけどね。

明後日までちょっと、ワーケーションってやつを、たのしみます。