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大切にしたい静寂の時間。

先ほどまで、打ち合わせをしていた。

カッキーこと柿内芳文氏との打ち合わせである。およそ2時間滞在していたあいだ、仕事に直接関係する話はせいぜい4割。残りの6割はなんの関係もない話(おもに最近彼の身に起きたトラブル)を聞かされる。きょうもいろいろ聞いたけれど、当然その内容をここに書くことはできない。

彼が帰ると、オフィスに静寂が訪れる。「やれやれ」とひと息ついて、冷たくなったコーヒーに口をつける。孫が帰ったあとのおばあちゃん家って、こんな静けさなんだろうなあ、と思う。それまで活発に動いていた空気が急に止まった感じだ。


結婚をして、犬まで迎えてしまって、プライベートでこういう静寂を味わう機会はなくなったんだろうなあ、と思う。もうほとんど忘れてしまったけれど、独身だったころはきっと、たくさん味わっていたはずだ。もっとしみじみ味わって、その気持ちをどこかに書いておいたりしておけばよかったと、ちょっとだけ思う。

ただ、原稿を書いているときはいまでも、圧倒的にひとりだ。原稿のなかにいるときは、とても静かだ。そういう時間を大事にしたくて、ぼくはこんな面倒にもほどがある仕事を続けているのかもしれない。手放したくないのかもしれない。


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投資家で教育者だった瀧本哲史さんについて、カッキーこと柿内芳文氏と語り合った『大人になったコペル君。 ぼくたちが知っている瀧本哲史さんについてのこと。』が、本日から公開になりました。こういう場を設けてくださったほぼ日刊イトイ新聞のみなさん、担当の稲崎さん、ほんとうにありがとうございます。