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ウケない話をあえて書く。

あんまりウケない話題なので、書いてなかったことがある。

■ ローリング・ストーンズの新譜が出た。


しかし80歳だよ、ミック・ジャガー。ローリング・ストーンズの新譜『ハックニー・ダイヤモンズ』が発売された。前作『ア・ビガー・バン』から実に18年ぶりとなるオリジナルアルバムだ。先行シングルからも予想されたとおり、アルバム全体にほどよい軽さと明るさが漂う良作となっている。

ここで生意気にも「良作」なんて書きぶりにとどめたのは、1994年の『ヴードゥー・ラウンジ』から2005年の『ア・ビガー・バン』までの彼らが、新作を発表するたびに「郷愁を抜きにして冷静に考えたら、最高傑作では!?」との評価を得るほどバキバキに仕上がったアルバムを発表していたのに対し、今作はちょっと『タトゥー・ユー』(1981年)っぽいアウトテイク感というか寄せ集め感みたいなものがあり、おそらくミック・ジャガーとしては自分らが元気なうちにもう一枚アルバムを出しておかねば、みたいな焦りがあったのだろう。「さあ、いっちょスタジオに入ろうぜ」と一定期間みんなでスタジオ入りしたものではなく、何年かにわたって録りためていたトラックに手を加えつつ一枚のアルバムに仕上げていった感じだ。

しかしながらこれが「良作」となっているのは、ここ10年ほどミックとキースの関係がよかったからだろう。おかげで、いい意味で肩の力が抜けているし、最高傑作をめざさず、現役バリバリであることを見せつけようとせず、シーンとかけ離れたところでのびのびと演奏しているさまが浮かんでくる。これを聴いて「意外とポップだ」と驚いている人も多いようだが、世間のイメージとは別に、ブルーズの求道者でもなんでもなく、ポップで不器用なバンドなのだ、この人たちは。

また、聴いていて驚いたのはチャーリー・ワッツの存在感だ。1曲目から「ああ、ストーンズだなあ」と思いつつ聴き続けた7曲目、突如としてあの天井を打つようなスネアが高らかに響く。「これこれこれこれぇ!」と興奮する。これこれ、これが足りなかったんだよ。なんてな感じで、聴いてようやくチャーリーの不在に打ち震えるのだ。なんか、むかしはジンジャー・ベイカーとかジョン・ボーナムとか、手数の多いドラマーをかっこよく思っていたけど、いまになってリンゴ・スターやチャーリー・ワッツのかっこよさにしみじみするようになってきたなあ。手数が少ないドラムって、相当なセンスがないと成立しないんですよね。

……なんて話がまったくウケず、ほとんど「いいね」が付かないどころか最後まで読み通してもらえないことはこれまでの経験から十分に知っている。でも、これはとってもいいアルバムだ。明日、長いドライブをする予定なので大音量で聴こう。


あと、ぜんぜん関係ないけどTVドラマ『フレンズ』でチャンドラー役を演じていたマシュー・ペリーさんが亡くなったんですよね。フレンズ、好きだったなあ。チャンドラー、ほんとに大好きだった。ご冥福をお祈りします。