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結論から先に書きなさい、の意味。

結論から先に書きなさい。

ビジネス系の文章作法を説くものの本、また小論文まわりの指南書などで、よく言われる話である。「オチ」を重んじ、起承転結の流れに慣れ親しんだ日本人の一般的感覚からすると、どこか腑に落ちない話に聞こえる。

おもむろにハンカチを取り出し、思わせぶりな態度でひらひらさせたのち、パッと鳩を消す。そして消えたはずの鳩が、もう一枚のハンカチのなかから羽ばたいてゆく。これが起承転結の流れだとすれば、結論から先に書くのはいきなりハンカチから鳩が飛んでいくような文章構成で、そんなものおもしろくもなんともなかろう。そう訝しむ人がいるのはよくわかる。

けれどもビジネス文書や小論文で求められるのは、「みんながびっくりしたままの手品」ではない。体験としてのイリュージョン(文章における文学性のようなもの)を求められているのではなく、理にかなった「タネ明かし」こそが、この種の文章における醍醐味なのだ。

なのでまず、結論を示す。マジックでいえば、鳩を消すなり飛ばすなりを見せる。そして「どのようなカラクリによってこの鳩は消え、また別のハンカチから飛び立ったのか」を理詰めで説明していく。その順番を間違えないようにすることが、「結論から先に書きなさい」の本意だ。



どうしてこんな話を書いたのか。

「犬はかわいい」という結論からはじめて、なにかおもしろい文章が書けないかと思ったからだ。けれどけっきょく、犬のかわいさを理詰めで説明することがかなわず、このような文章作法にまつわる話でごまかしている。

「犬はかわいい」と言うときの「かわいい」は、かなりの部分が「おもしろい」と同義なのだけれど、そのおもしろさを理詰めで説明しようとすると、どうしても本来あったおもしろさを減じさせる結果になるような気がして、まだちゃんと書けずにいる。

いや。

書けない余白があるからこそ、犬はおもしろく、つまりかわいいのだ。