DSC_0631のコピー

彼とわたしのアレルゲン。

犬は、痛いとも痒いとも言わない。

いや、実際には足を踏まれれば「きゃん」と吠えるし、痒いときにはうしろの足を器用に使って該当部位を掻き掻きする。痛かったね、痒いんだね、とわかる。とはいえまあ、しゃべることのかなわぬ存在ゆえ、明確に痛いとか痒いとか口にすることはない。

最近なんだか犬が痒がっているなあ、と思っていた。

前足を舐めてみたり、首まわりや腹の付近を掻き掻きしたり、どうにも具合が悪そうだ。目をこするときの自分がそうなのだけど、人はこういうとき、やめろと言われるほど痒みが増し、ますます掻きたくなる。どうやら犬にも同じ心理が働くようで、やめろと言って制止するほどムキになって舐めたり掻いたりしてしまう。見ているこっちが痒くなる。

病院に連れていっても薬用シャンプーへの切り替えを提案されたり、簡単な血液検査をもって異常なしと診断されたり、なかなか改善のきざしが見当たらない。思いきって、アレルギー検査を受けさせることにした。


すると、出るわ出るわのアレルゲン陽性反応。

これまで積極的に与えていたおやつも直球ド真ん中の陽性だったことが判明し、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。いちおうは医療系の話なので正確を期していうと、アレルゲン物質の測定値(IgE)が高かったとしても、それだけをもって「○○アレルギー」と判断することはできず、とくに食物アレルゲンについては参考値程度に考えるのがいいのだそうだ。たぶんこのあたりについては、くわしい人がわんさかいるだろう。とはいえ、なんの反応も出ていない食べもの(うちの場合でいえば牛や豚、羊や鹿など)もたくさんあるわけで、今後はそういうものを中心に食べさせていこうと思っている。

で、思ったのだけど。

うちの犬はアレルゲンなんて概念はひとつも知らないまま、ふつうにごはんを食べていたわけですよ。「完食」を座右の銘にしてるんじゃないかというくらいの勢いで、大喜びで食べていたわけですよ。でも、それが彼に(もしかしたら)知らず知らずと負担をかけていた。しかも「痛い」や「痒い」を意識化することなく、なんとなくイライラしていた。

これってぼくらの仕事や人間関係でも同じことがいえて、無自覚なままこなしている仕事や受け入れている人間関係のなかに、ひょっとしたらぼくらをすり減らしているものがあるんじゃないか。それによって言語化・意識化できないレベルの不調を、きたしているんじゃないか。


うん。こころのアレルギー検査があればいいなあ、と思ったわけです。「あなたはこういう人がダメ」「こんな仕事もNG」「このアレルゲン、超やばい」とかの検査がね。