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刺激が足りないと言う前に。

感覚的な話をする。エビデンスはとらない。

たとえばアルコール。ニコチンやカフェイン。そしてさまざまな違法薬物。これらはだいたい、身体に悪いものとされている。いや「一日一杯の赤ワインで健康になる」とか「一日一杯のコーヒーが長寿につながる」みたいな話はよく聞くけれど、一般論として。アルコールで身体を壊す人、長年に渡る喫煙習慣によって肺を病む人、薬物の過剰摂取で命を落とした伝説的ミュージシャン、いろいろいる。

簡単に言うとこれらはすべて「毒」であり、ことばを控えるなら「異物」である。そして体内になんらかの異物が入ってきて、それに刺激されたり、その異物を排除・浄化・消化しようとがんばる過程のイレギュラーな働きが、脳内に興奮や陶酔をもたらし、その快楽が常習につながり、身体にあらぬ負担をかけていく。感覚的にはそういうものだと、ぼくは理解している。

刺激が足りない、と訴える人は多い。

毎日が同じことのくり返しでつまらない。退屈で頭がどうにかなりそうだ。そういう人は「刺激」よりも具体的な、「異物」を日々に混入させるといいのではないか。そんなことを思った。

滅多に会わない人と会う。はじめての場所に行く。知らない作家の知らない本を読む。知らないミュージシャンのアルバムを、フルで聴く。やったことのない種類の仕事を引き受けてみる。

ね? 刺激物じゃなくて、ただの異物でいいんです。「いい」とか「おもしろい」とか「性に合う」とかがなにひとつ保証されていない、異物。

異物をうまく取り込んで生きている人は、きっと刺激的な毎日を過ごしているし、進化や変化を続けているはずですよ。そんで異物がどこにもない日常は、心地よくても退屈ですよ。

来年はどれくらいの異物を取り込めるかなあ。