見出し画像

目標設定の大切さ。

かつて「自己啓発雑誌」としか名づけようのない雑誌があった。

1980年に創刊されたというその雑誌の存在を知ったのは、たぶん高校生のころだ。読んだことはない。けれども新聞広告や電車の中吊り広告でしばしば見かけるようになり、また当時読んでいたサブカル系の雑誌等で「○○○○じゃあるまいし」みたいな悪口として、耳にするようになった。たしかに新聞広告で見かけるそれは、ひどくカッコ悪いものだった。見ているだけで赤面してしまうほど、恥ずかしいものだった。

けれども1990年代後半あたりから、そういう本が売れるようになっていく。いや、もしかしたらぼくがライターの仕事に就いたので視界に入るようになっただけかもしれないけれど、それでも自己啓発としか名づけようのない、カッコ悪いはずの本が、たくさん売れる世の中になった。

いまになって記憶を整理しながらわかるのは、「ビジネス書」や「ビジネス誌」の読者層が変わったのだ、たぶん。

かつて「ビジネス書」や「ビジネス誌」は、主に経営層の人たちが読むものだった。それゆえしっかりした経営書以外にも、「戦国武将の戦略・戦術に経営を学ぶ」的な、よくわからない高齢層向けの言説もあふれていたのだけれども、バブル崩壊以降、一般のビジネスパーソンたちも成長や自己研鑽、自己投資を求めてビジネス書に手を伸ばすようになった。

とはいえ若手のビジネスパーソンに、動かすべき組織はない。差し迫った危機もなく、具体的な目標もない。

そこで「人生を変える」だの「夢がかなう」だの、漠とした目標を掲げ、そこに向かって尻を叩くような自己啓発の本が大量生産されるようになった。


いまもその構図は変わらず、硬派とされるビジネス書は「知りたい」「身につけたい」の対象がはっきりしたものが多く、そこがぼんやりした本はビジネス書の皮を被っていながらどうしても自己啓発に傾いてしまう。

……というようなことを考えながら、今後出していく本の構想を練っています。自己啓発って考え方、ほんとはそんなに悪いものでもないはずだから、なんか「ビジネス書」でも「自己啓発書」でもない、けれどもおもしろくて役に立つ本をつくりたいんだよなー。大切なのは目標設定、なんだよな。