ああ、あこがれのデイリーポータルZ。
ああ、おれはこれになりたかったんだよ。
当時そう思ったことを、よく憶えている。「当時」というのがいつかというと、たぶん2002年とか2003年だ。自分のプロバイダが niftyで、当時は仕事にもプライベートにも同じ niftyのアドレスを使っていた。それもあってよく覗いていた @niftyのポータルサイト内にある日、「デイリーポータルZ」なるサイト? を発見した。
ふざけていた。徹頭徹尾くだらなかった。なんの役に立たず、どこまでも自由だった。自分が大好きなインターネットであり、サブカルチャーであり、学生時代にあこがれていた「ライターかくあるべし」像が、たしかにそこにあった。
ひるがえって(当時の)自分は、お堅い経済系の雑誌でライターとしての仕事を得ていた。経済に関心があったわけでもなく、流れに身をまかせた結果として、たまたまそこに身を置いていただけだった。仕事をおぼえ、飯が食えるようになるにつれ、「これは、おれがやりたかったことのかな?」「このまま経済畑のライターとして生きていくのかな?」と、余計な迷いも生じてくる。そんな時期に出合ったサイトだったからこそ、やたらまぶしく感じてしまった。「こういう好きなことを書いて食っていきたいんだよ!」と思い、そして「好きなことを書いて食っていく」は、そのまま学生時代に抱いていたライターの仕事そのものだったからだ。
もちろんいまになれば、デイリーポータルZのみなさんがなんの考えもなしにただ好きなことを書いているわけではないと、よくわかる(それではおもしろくならないし、クオリティは維持できないのだから)。けれどもあそこに流れる自由きわまりない空気は「ライターっておもしろいよ」「ライターってこんなことまでできるんだよ」の啓蒙になり続けているし、なにより光陰矢のごとき光速無限のインターネット界にあって、みんなが大好きだった『インターネット』の最後の砦なのだ、デイリーポータルZは。
そんな彼らがこのたび、法人化して自立の道を歩むのだという。
告知ページURLの末尾は「kaisha-kawaruyo」。みんなが大好きだった『インターネット』だ。どれくらいの応援になるのかわからないものの、「はげます会」に入会した。
それからまた、きのうはデイリーポータルZの古賀及子さんとトークイベントをおこなうことができた。個人的にとてもたのしかったし、来場してくださったみなさま方にもきっとたのしんでもらえたのではないかと思う。
そして古賀及子さんの大大大大大傑作はこちら。
ああ、あこがれのデイリーポータルZ。
このままいつまでも、あこがれさせていてください。