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取材者たちからの返事。

先週金曜日の夜、「バトンズの学校」のオンライン懇親会が開かれた。

当日の夕方にようやく全員分のフィードバックを戻し終え、缶ビール片手にのんびりと参加した。32人の受講生全員について、もう「○○さんは、△△なところがあるから□□するといいよ」みたいなことが言える。その他大勢はひとりもおらず、みんなが個性と人格と課題とを抱えた「これからの人」だ。しゃべり笑いながら、用意していたビールがどんどん空いていく。

たのしい時間も終盤にさしかかったところで、受講生のひとりが「じつは」と切り出した。


「わたしたちから古賀さんに、プレゼントがあります」


そのタイミングでオフィスのインターホンが鳴らされ、学校の運営をお願いしていた今井くんが「あ、ども。今井です」と低い声で言う。

オフィスまで上がってきた今井くんが手渡したのは、一冊の小冊子だった。

開くと、32名からぼくへのメッセージがそれぞれ32ページにわたってびっしりと書き記されている。中身を撮影・掲載することはできない。それはぼくが彼ら・彼女らに送り続けてきた「1000枚のフィードバック」を、どこにも公開するつもりがないのと同じだ。この学校のメンバーだけで共有できていれば、それでいい。

学校をはじめる前、やや吹かし気味に掲げた「1000枚のフィードバック」のコンセプト。結果的にそれは1000枚を遥かに上回る数になり、この半年でぼくは本数冊分のフィードバックを書いてきた。その内容がどこまで伝わったのかは何年か経たないとわからないことだけれども、「伝えようとした気持ち」についてはしっかり伝わり、受け止めてもらえたのだと思うことができた。受講生のみなさん。うれしい「返事」、ほんとうにどうもありがとうございました。

(写真/兼下昌典)

ライターとは、「取材者」である。
そして取材者にとっての原稿とは、「返事」である。
取材者であるわれわれは、「返事としてのコンテンツ」をつくっている。

『取材・執筆・推敲』より