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わたしが風邪を引く理由。

真剣に衣替えを考えるべき時期なのだろう。

風邪を引いてしまった。熱もなく、喉の痛みもまったくなく、ただ鼻がずるずるになる典型的な初期症状。普段であれば花粉の飛散も疑ってみるところだけれども、本日の東京はしっとり雨模様であり、やはり風邪なのだろう。そろそろ本気で衣替えに着手せねばならぬようだ。

いちおうわが家には、クローゼットがある。春夏秋冬すべての服が、そこに収まっている。なので大々的な衣替えは本来必要ない。夏のあいだに着ていなかった服を着る。上からもう一枚羽織る。それがぼくにとっての秋の装いである。じゃあなにを衣替えしなければならないかというと、寝具だ。

残念ながらほかの人間になったことはないので自分の経験から語るしかないのだけれど、季節の変わり目で人が(ぼくが)風邪を引くとき、その原因は大抵寝具に求められる。ずいぶん寒いはずなのにタオルケット一枚で眠ってしまったり、がんがんにエアコンを効かせた部屋で半裸のまま寝てしまったり、エアコンを付け渋った初夏にだらだら汗をかいたまま眠って風邪を引いたり、などである。

文明と呼ぶべきものが生まれて以来人間は、服を着たり脱いだりすることによって体温調節を図り、生命の維持を図ってきた。しかも睡眠時には体温が著しく低下するため、なんらかの寝具が欠かせない。寒いのなら着る。就寝時であれば、ぬくぬくの布団をかぶる。これはもう当たり前の、本能に直結したともいえる話だ。

じゃあなぜ、季節の変わり目にぼくは寝室で風邪を引いてしまうのか。


面倒くさいからである。

いったん睡眠状態に入ってしまった心と身体を奮い立たせ、もう一枚の布団や毛布を引っぱり出してくることがとんでもなく面倒くさい。暑さや寝相のせいでベッドの端に寄ってしまった毛布をあるべき位置に戻すことさえ面倒くさい。若干の寒さは感じるものの、このまま深い眠りに落ちてしまうほうがずっと快適である。そんな心の弱さ、または意識の朦朧によって寒さを放置し、翌朝に風邪を引いてしまっている。

先ほどコルゲンの鼻炎薬を服用したのだけれど、鼻のずるずるは一向に収まる気配がない。暑いのか寒いのかわからない部屋でいま、集中力をおおいにかき乱しながら作業を進めている。きょうはちょっと、早く帰ろう。