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書ける身体のつくり方

この前、僕と嶋津さんでつくっている《ことばのアトリエ》という場に来てくれた人から質問をもらった。

ふだんはふたりが黙々とことばを捏ねたり、あるいは月でも眺めるように対話するアトリエなのだけど、その日は限定公開ライブというかたちで10数名ぐらいのゲストとも話をしたのだ。

「病気になったり、心身を崩して書けなくなるという事態をどうやって避けてるんですか?」

ざっくりとだけど、そういう質問。もちろん、その質問の出てくる前後の文脈があるのだけど、そこの話はまた別のnoteで。

僕らは脳の読み取りと書き込みができるデバイスを持たない人間だから(いまのところ)『ブラック・ミラー』的世界のカオスに陥るまではないけど、それでも体調を崩すことで「予定されていた世界」が崩れるのはある。

とくに仕事の文脈では、当然だけど「すべてがリニアに進む」ことを前提に成り立っている。途中で何かの要素が消滅したり、あるいは急激に進化することは想定していない。

ライターの持っている記憶やテキストデータがあるとき突然消えたり、アクセスできなくなったり(想像するとホラーより怖い……)ということも含めて。

だけど、本当はそうならない保証なんてない。ないのだけど、そこを「あるかもしれない」と考えると仕事は進まないので、一応、社会の約束事の一部として何ごともなく進む設定になっている。

ある朝、起きたら一文字たりとも書けないことは「ない」はず。

でも、そこまでの事態にはならなくても体調不良や最近の禍その他、自分でそうなるつもりではないものに呑み込まれて「書けない」が発生するかもしれない。

そうならないようにどうしてるんですか? という冒頭の質問だ。

僕の答えは、たぶん一般的ではない。再現性があるかもわからない。ただ、個人的にはこうしてるというもの。

一応、その方法でまあまあ長くライターをやってるけど「病気になったり心身を崩して書けなくなる」ことはなかったという話です。

※『これからのライター』サークルメンバーの方は、↓↓から入って読めます。


「書けない」という事態にならないために、どうしてるか。

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