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サヨナライツカ/優しい人

サヨナライツカ

いつも人はさよならを用意して生きなければならない
孤独はもっとも裏切ることのない友人の一人だと思う方がよい

愛に怯える前に傘を買っておく必要がある
どんなに愛されても幸福を信じてはならない
どんなに愛しても決して愛し過ぎてはならない

愛なんて季節のようなもの
ただ巡って人生を彩り 飽きさせないだけのもの
愛なんて口にした瞬間 消えてしまう氷のカケラ

サヨナライツカ

永遠の幸福なんてないように
永遠の不幸もない
人間は死ぬ時
愛されたことを思い出す人と
愛したことを思い出す人に分かれる

私はきっと愛したことを思い出す

辻仁成『サヨナライツカ』

私たちの結婚式は
『サヨナライツカ』に登場する詩を2人で読み上げるところから始まりました。もう10年以上も昔の事なので、なぜ選んだか思い出せなくなっていますが…
歳が離れているので
これから一緒に過ごす時間に限りがあることをどこか気にしていたのかもしれません。

2022年7月11日
夫は自分の命を生ききり
新たな旅に出かけました。

noteから生まれたご縁には
夫自身も夫が紡いだ言葉たちも
励まされ癒されていたと思います。

これまで楽しみに読んで頂き本当にありがとうございました。
素敵なご縁をありがとうございました。

ふみぐら社 Yunde Ippei
妻 Yunde Ayako

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313字
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