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春風と曲線

この世界は少しだけ曲線を描いていて
いつも君が少しだけカーブの先にいる。

君は春風を髪に受けながらスカートを翻して歩いてく。

自転車の二人組が追い越しても、おばあさんを散歩させた犬が立ち止って
見つめても、宅配の水を載せたワゴンから虹色の水が噴水のように
降り注いでも君は歩く。

パラパラまんがの街を君は歩いてく。ページをめくる気まぐれ。
勢いよく飛ばされそうな日々。

僕はそんな君のあとをずっと追いかけるように歩く。

何度目の春。いつも新しい春。春風に手を振る君。

目に映るものはいつも楽しそうで淋しそうで、割れたビスケットのお祭り。
終点へリピートする電車。飛び立つ路面電車。

すべてが少しだけ曲線を描いていて、僕は永遠に君に追い付けるから。

忘れ物、取りに戻るよ。春風が教えてくれた公園。君がブランコで泳ぐ明日。水飛沫。光る影。

この世界の曲線をずっと覚えていたくて。

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村暮らしのライター/エディター Editing and Book Writing/人とことばと土を耕して生きてます。東京⇄信州。noteでは大事じゃないけど大事なことを。何をしてるかより「なぜしてるか」の深い話を聞いて書くひと→ https://fumigura.com/

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