玉の緒


ここ数週間、私は擦り切れてしまいそうな心持ちである。

退屈でしょうがなかったからか、将来への不安とかこの世の憂さの全てから目を背けたくなったからか、マッチングアプリで手当り次第やり取りをして、数人と会って関係を持った。

事後はいつもしてやったりな気分だった。そして早く帰りたかった。事後もベタベタしてこようとする男にウンザリしていた。

彼氏への罪悪感なんてとっくに麻痺してる。罪悪感は持ったって何にもならない。かと言って罪悪感を持たなくていいような生き方はできない。

相手も自分も、私を好きでいてくれる人も全てを騙している。何も信じられなくなった。相手も自分も何もかも。

こんなこと続けていてはいけないと思っている自分自身も殺している。

強迫的な寂しさとじっとしていられない感覚でついインスタントな関係に走ってしまう。でも始発の電車の中で、昨晩の寂しさよりずっと大きな穴を己の中に見つけるのだ。

人生は経験だ、という気持ちではじめた火遊びも今は自分を消費して燃え上がっている。

とりあえず強いお酒を買って何もわからなくなって行為に及ぶ。誰も知らない2人だけの空間で、相手が私を求めてくるあの瞳が好きだ。

ことが終わって吸う煙草はこの世で1番美味しい。心のヒビに煙が吸い込まれていくような感じがする。

私は何を求めているのだろう。私がほんとうに欲しいものってなんなんだろう。そんな自問自答が家に帰って微睡む一瞬に浮かぶ。

周りは将来のことを考え行動しはじめているのに私は足踏みをしている。むしろ退行していっている。

私は生きているという感覚のために自分を消費して、摩耗している。

分かっているけれどこの退廃的な日々の景色をどこか自分にお似合いだなぁと思っている。

そしてもう一人の自分が、いつまでそんなガキみたいなことやってんだよって叫んでいる。

これも例の二律背反のひとつなのだろうか。

擦り切れてしまったらどうなるんだろう。もう二度とつながることは無いのだろうか。

こんなことしててもやっぱり怖いんだね私は。

自分を挑発したのは自分じゃないか。強くなりたいんだろ?
こんなことへとも思わない自分になりたい、だからわざわざこんなこと始めたくせに。

わたしはずっと弱いまま、か。

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