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「代書人バートルビー」 ハーマン・メルヴィル

酒本雅之 訳  バベルの図書館  国書刊行会


大いなる疑問符


今日はメルヴィルの「代書人バートルビー」。中編(100ページくらい)なので今日読み切り。この「バベルの図書館」シリーズはボルヘスが企画してたもの。同じシリーズのパピーニって作家も面白そう。イタリアの作家で、なんでもカルヴィーノやブッツァーティの先駆けらしい。

さて… 「代書人バートルビー」、「白鯨」のメルヴィルとはまた違ったオフィスメルヴィル?が味わえる。バートルビーは何を言いつけられても「その仕事は自分は避けてもらうとありがたいのですが…」なるようなことを言い、一切事務所から出ようとしない。
よーし、これからはしたくない仕事はバートルビースタイルで拒否るに限る!
と…バートルビーはなんかそんなのとは違い、何も意欲もない感じ。そんな描写前に見た覚えが。そうそう、イザベラ・バードの描写した日本の農村民や、プラトーノフ「ジャン」の遊牧民とか。もう、人間存在の一線を越えてしまった、そんな人々。 バートルビーもそんな人々なのか?

上では明治初期の日本農村民とか「ジャン」の遊牧民とか言っていたけれど、読み切ってみて…「結局バートルビーって何?」
小説の去り行く手に、finではなく?が下がってきて終わりました。 まあ、日常生活に大きな、できるだけ大きな?を掲げるのも文学の一使命…
(2008 08/15)

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