すばる2024年2月号…対談づくし(五大文芸誌も読んでみよう…その7)
五大文芸誌…文學界(文藝春秋)、新潮(新潮社)、群像(講談社)、すばる(集英社)、文藝(河出書房新社)
これら五大文芸誌(以外の文芸誌も)の過去号を図書館で借りてきて、読んでみる企画(と言えるのか)。
読むのはもとより存在自体も知らなかった…というテイタラクな海外好き日本文学苦手な自分も、少しは今の日本文学シーンの一端の端っこくらいは味わないと…
管啓次郎と堀江敏幸の対談
まずは管啓次郎と堀江敏幸の対談から。これは青山ブックセンター本店で行われた、管啓次郎の詩集「一週間、その他の小さな旅」と批評集「本と貝殻」同時刊行記念の対談、題して「本の島をわたってゆく旅」(この号、これを含めて対談が4つもある)。前半が管氏の自作の詩の朗読、後半が堀江氏との書評をテーマにした対談、の構成。
(ちなみに、管啓次郎は、昔読んでかなり影響された本の一つ、マトゥラーナとバレーラ「知恵の樹」の訳者)
堀江敏幸氏の言葉。書評など書いたことはないけど、なんかとても実感できる文章。
続いて、管啓次郎氏の「本と貝殻」所収の、冨原眞弓「ミンネのかけら-ムーミン谷へとつづく道」の書評…これ、冨原眞弓氏の本自体がかなり魅力的なのだけど、それはもちろん管氏の書評の力でもある。
困ったことに、また読みたい本が増えるではないか…それにこの冨原氏、フランスではシモーヌ・ヴェイユの他にカタリ派も焦点にあると言う(珍しいのか(笑))…実はこの本の帯の文章書いたのが堀江氏。
(本谷有希子「自分を好きになる方法」と言うのも気になる(読みたい、困った)…次はゼーバルト「土星の環」(よかった、読んでた…)
誰かの言葉を拾ってきて、並び替えて、行間に訳文を差し込んでいく。それが書くことであるなら、ベンヤミンの「パサージュ論」は確かに一つの創作であるし、書評もまた一つの作品である。
堀江敏幸の作品も何か読みたいと前から思っているのだが、何がいいのかなあ。
(2024 02/19)
西加奈子と長島有里枝の対談
今号は(いつもなのか?)対談が多い。次は西加奈子と長島有里枝の対談から。
西加奈子の言葉。こういう言葉を聞けるだけで全く知らない、すぐ近くの世界観を知ることができる。女性はそこにまで誰かの(だいたいは男性の)視線を意識しているわけか…
長島有里枝の言葉。西加奈子の「チェンジ」について、作者西加奈子自身が、ラストでキレられるおっさん作家の性質が自分にもあって、キレる方の風俗で働く女性の立場に自分は立てることができるのかと悩んだという。そのことについての発言。
長島有里枝は写真家としてデビュー後、作家、そしてフェミニズム論者として表現の場を広げている。
(2024 02/24)