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「薔薇の名前(上)(下)」 ウンベルト・エーコ

河島英昭 訳  東京創元社

(読書記録うすいので、上下合わせて1記事)

薔薇の名前(上)


今読んでいる。この作品は自分にしては珍しく、映画を最初に見た。それから十年弱経ってようやく原作。エーコの作品は「フーコーの振り子」も「前日島」も一回読んだ。で、やっと「薔薇の名前」。やっと。
(また中世か…)
(2007 09/04)

アリストテレースの「詩論」第2篇
今読んでいる「薔薇の名前」で、重要なキーとなるのが、標題のアリストテレース(何故かこの作品では「ー」をつけている。原語に近いのかな)の「詩論」第2篇。(ちと本の名前曖昧だけど)
そこでアリストテレースは笑いを重要視しているらしいのですが、舞台の僧院では誰も現物を見たことがない。
果たして沈黙(この僧院の戒律らしい)か笑いか、エーコはそこに賭けているらしいのです。でも本当にその本は実在するのであろうか。
(2007 09/04)

薔薇の名前(下)

「薔薇の名前」読了報告
結末と冒頭が呼び合う書物…
ラストで、事件の数年後に僧院跡を訪れたアドソは、燃えかすや虫食いなどの中から、文書館の羊皮紙の断片を拾い集めていく。最初ここを読んだ時、この部分は余分な付け加えではないかと思った。が、よく考えてみれば、このアドソの姿は一番冒頭の他ならぬエーコの姿に重なり合う。小説の時代設定は中世から近代へと変わる変動の兆しの頃。知識も山上の修道院から都市の大学へと変わっていく。姿が重なり合うのならば、時代背景も重なり合うのでは?
(2007 09/13)

 昇りきった梯子は、すぐに棄てなければいけない
(p372)


一つの価値観、観点だけに捕らわれるな、ということであろうか?ただそれだけでないものを感じる。「すぐに」という強調が引っ掛かる。
(2007 09/14)

おまけ:「前日島」再読したのだけれど、あちらにも「梯子」が出てくる。ヤコブの縄梯子という、主人公ロベルトが遭難してその縄梯子につかまって助かり、またそのダフネ号で縄梯子に命綱つけて泳ぎを特訓したり…好みのモティーフではあるだろう。
(2022 10/11)

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