「全アジア航路を行く」 小牟田哲彦
河出書房新社
「全アジア」はもちろん誇張だけど、第6~10章までの東南アジアローカルの航路が面白そう。今は第2章まで(日韓・日中)まで読んだ。
(2015 05/17)
日台と中韓
アジア航路の第3、4章。那覇から台湾へ。客は途中の宮古島、石垣島へ行く人がほとんど。台湾ではこの当時まで(2000年代)沖縄のことを公式には「琉球」と表して、あたかも自国領であるかのような待遇だったらしい(入出国手続きはあるけど)。またこの当時までは、台中の航路が閉ざされていたため、台湾から一旦石垣島沖まで来て入出国手続きを行い、それから大陸へ向かったという。そこで支払われた税金の一部は地元にも回っていたらしい、
次は中韓。たくさんの路線があるが、この当時唯一の国際航路であった大連(今はどうかは知らない)行きを選択。日本製だった船の注意書とか写真に撮っていたら係員に怒られたという。
(2015 05/18)
ボルネオとフィリピン
ボルネオのサンダカンからフィリピンミンダナオ島のサンボアンガまで。
サンボアンガからイロイロを経てマニラへ。
マレーシア側のミリからブルネイへ。
なかなか行けないところだけにこういう記録は貴重。サンボアンガへの航路は乗組員も含めほとんどフィリピン人。何故か船はロシア製。フィリピンでの船の乗り方は船そのものに行って直接交渉らしい。
マニラへの航路では祈りを捧げるムスリムの描写が興味深かった。フィリピンではムスリムは少数派なんだけど、認知はされているようで、祈りの最中に検札に来た係員は終わるのを待ってから検札していた(もっとも一人は祈りを中断して検札に応じた)。
マレーシアーブルネイ(ここはバス旅)ではマレーシア側の方が設備は立派。この当時はマレーシア側、ブルネイ側ともに川を船で渡る。マレーシア側には橋が架かったようだが、ブルネイ側ではまだみたい。
(2015 05/19)
カンボジアトンレサップ湖、香港、ウラジオストク、樺太
この本に載っている航路の中で、唯一自分が乗ったことあるのが香港島と九龍結ぶフェリー。あと、富山で、国道8号にやたらにロシア文字の中古車置場あったの見たけど、伏木から運んでいたのね、なるほど…
カンボジアではトンレサップ湖に入る前の川のローカルな船旅が面白かった。水上家屋ってここら辺にもあるのね。確かに航路なら地雷の心配もないし。
樺太からは国後や択捉・歯舞への航路もあるという。もちろんロシア国内航路という位置付け。
この著者小牟田氏は法学部出身らしく、第3章の台中間中継ぎ交易などの背景を教えてくれる。サハリンではなく樺太なのもこだわりがあるようだ。
那覇ー台湾航路はもうこの本出版された頃には廃止されたらしいけど、他にどのくらい生き残っているのかな。
(2015 05/20)
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