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「アルジェリア近現代史」 シャルル=ロベール・アージュロン

私市正年・中島節子 訳  文庫クセジュ  白水社

アルジェリア近現代史 


とりあえず文庫クセジュの「アルジェリア近現代史」を読んでいる。昨日は。 この時代の予備知識があまりないので悪戦苦闘しながらだが、アルジェリア植民地の運営は、軍部、植民者(コロン)、そしてフランス本国政府の関係で変わる。今さしかかったところはナポレオン3世の時代。彼は意外にもアラブ人を同化ではなく意志を尊重していたらしい。まだ途中までしか読んでないので、結末はわからないのだが…メキシコに弟(だっけ?)を皇帝として送り込んだのとは同じ意識なのか、違うのか。
(2016 02/25) 

植民者の民主主義とは


アルジェリアは帝政終了後、コロン達の主張が通って、共和政府・民主主義の時代へ。といっても、植民地の民主主義というのは宗主国の植民にとってでしかない為、被征服者のアラブ人社会には歓迎されない。アラブ人共有地にコロンの私有地化と売買を認めるとかそういう政策がとられる。
(2016 02/26) 

チュニジアとアルジェリア


アルジェリアでのムスリム共同体の破壊のされ方みると、昨年末に読んだチュニジアの植民地時代の記述とは違う印象を受ける。チュニジアでは前の組織や信仰は案外そのまま残されていたような。これは地域差なのか、視点(日本人研究者とフランス人研究者)の違いなのか、力点の置き方(植民地時代か現代か)なのか。 でも、第一次世界大戦後くらいからアルジェリアのアラブ人の中にも高等教育受けたり、フランス本国に渡ったりする人が増えていき、その中から次の運動を起こす人々も出てくる。 
(2016 03/01) 

アルジェリアの独立とその後


アルジェリア民族主義派のメンバーが乗ったモロッコの飛行機強制着陸させたり、ド=ゴールに反対したりフランス軍に対してテロを起こしたり、アルジェリアのコロン側のテロリストもいろいろやったみたいだけど、モロッコもチュニジアも独立して、エジプトの協力もあったら独立は止められない。著者アンジューロンは訳者が一瞬とまどったくらいド=ゴール以前の体制の政策に批判的だけど、ド=ゴール自身も最初はアルジェリアをフランスとの連合体にしたかったみたい。
現代に続くアルジェリアの内戦は、いろいろな層の対立(民族的、言語的…)が重層的に絡んでいるのだけど、その根底にはこの長い独立戦争によって、一つの国として熟成できなかったことが挙げられる。直接には新しく台頭したイスラーム政党が勝利した選挙を無効にしたことが始まり(著者はこの政党にあまり好意的ではないみたい)。ということで、昨夜読み終わり。
(2016 03/03) 

補足


クセジュには別のアルジェリア現代史の本もある。
「アルジェリア戦争ーフランスの植民地支配と民族の解放」ギー・ペルヴィエ(アージュロンの弟子みたい、ここではフランス側に立って記述している)

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