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「柔らかい月」 イタロ・カルヴィーノ

脇功 訳  河出文庫  河出書房新社

怪物と怪物でないものの差異


カルヴィーノ「柔らかい月」。
なんだか地球誕生からずーっと観察してきたという語り部Qfwfq氏。なんでも、誕生間もない地球がもともと惑星であった月を捕らえて衛星にしたとか、はたまた単細胞生物となり細胞分裂を経験したり、とかまったくもってカルヴィーノ。
その中での「鳥の起源」のお話。初めて鳥を見た人間たちの中にいた語り部氏は怪物とそうでなかったものの違いを考える。怪物とは可能性はあったが実現しなかったものたちである、と。そんな中で今まで「怪物」であった鳥たちが登場するのであった... 

とまあ、物語とは可能性はあったが実現しなかったこと、なのかな、と「宿命の交わる城」とか「冬の夜一人の旅人が」とか書いているカルヴィーノのテーマにも繋がるんだな、と読みながら考えた。 
(2008 06/22)

「柔らかい月」各短編内の繋がりもともかく、短編のある項目や話題と別の短編のそれとの絡みや反映が見えると面白い。
(2008 08/24)

銀河系周回のしるしとしての現代


「柔らかい月」との合同主人公?qfwfq氏は銀河系が回転して2億年とか6億年とかして元に戻ってくるときの為にしるしをつける。がいろいろすったもんだあったうちに(説明になっているのか?)しるしだらけになって、要するにこの世の中になって…しかしそれでも一連のしるしに、qfwfq氏は自分の原点のしるしとの繋がりを感じるという。 
(2008 09/15)

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