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「黄金のブダペスト」 エステルハージ・ペーテル

ハンガリー文芸クラブ 編訳  未知谷

読みかけの棚から
読みかけポイント:短編を2つ。

図書館にて。エステルハージの来日記念アンソロジー本。2001年来日時のもの。「ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし」からはあの「見えない都市」の引用である19章が掲載されている。本人はポストモダンの作家だと思われるのが気に入らない?
(2009 01/25)

平井の本棚で購入。
(2021 02/27)


「我々が今いる場所-チェーホフの短篇-」から

 すべてがあったが、幸せだけがなかった。もしくは、まさにそれを考えはじめた。奥さんに嘘をついたと感じたので、もし幸せでないなら、不幸せ…、だったら不幸せというのは何なのだろう、と。そして、徐々に、不幸せとは、一つの言葉だという結論に傾いていった。
(p120)


言葉は常にその指し示すものからずれていく、ということだろうか。
とりあえずこの短編だけ読んでみる。チェーホフは特別何か言及あるわけではなく、雰囲気だろうか。またこの中にはカミュの「ペスト」からの引用もあるという(どこかまだ見つからない)。
「ハーン=ハーン…」だけでは理解できなかったところが、こういう作品を集めたアンソロジー読むことで見えてくる、見えてくればいいと思う。
(昨晩読んだ分)
(2021 11/24)

「「ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし」メキシコの宿題」

昨夜も掌編を一つ読む。
「「ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし」メキシコの宿題」と題された、メキシコでの作家会議のためのエッセイ。

 言葉は私たちが慣れてきたのとは違う働き方をします。違ったふうに嘘をつき、違ったふうに逃げ隠れしています。ですから中央ヨーロッパの作家は今、子どもが積み木をいじるように言葉をひとつひとつ手にとって眺め、あちこち触っていますし、そうしなければなりません。
(p198-199)


コラージュとパロディの作家という派手?な作家像とは逆に、裏には言葉というレンガをひとつずつ積み上げてはやり直すという地道なやり方を貫き通す作家の姿がある。
(2022 04/30)

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