見出し画像

「エヴァ・トラウト」 エリザベス・ボウエン

太田良子 訳  エリザベス・ボウエン・コレクション   国書刊行会

昨日から読み始めた「エヴァ・トラウト」。エリザベス・ボウエンの最後に完成された長編小説。エリザベス・ボウエン・コレクションの1冊。
なんか読んでいて、唐突に奇妙な表現や比喩が出てきて気になる。その出現頻度が例えば前に読んでいた「コレラの時代の愛」(マルケス)と同じ感じ。でも、マルケスのは味わう感じ。こっちは味わう前に刺さっている。
置いて味わうか、突き刺さって感じるか…
(2008 07/30)

「エヴァ・トラウト」も後半に入り、展開が深まってきた。話自体はかなり「息詰まる」展開だと思うのだが、実際の小説は実に静かに?進行していく。4・5人の登場人物が場所とか関係とかその他もろもろ変えて、さまざまな組み合わせで読者の眼前に現れる、といった感じ。何か知恵の輪をネックレスにした感じ。の小説。解きほぐす方も大変…
(2008 08/06)

落ちぶれた父のパロディー
昨夜、「エヴァ・トラウト」を読み終えた。なんだかラストだけは今までの静かな展開と違って、少々ドタバタコメディらしい主要人物大集合と唐突な終わり方だったけど…これがボウエン最後の長編の終わり方なのか…解説読むと自分が読みとっていたのは20%に以下に過ぎなかったなあ、と改めて思う。
そんな解説の中に、内田樹氏が書いた「村上春樹にご用心」という本の一節がのっていた。そこには今の小説には弱い父、傷ついた預言者…などの落ちぶれた父権制ばかりである。でも、私達はそれにしがみついていくしかない…と書かれていた。
(2008 08/07)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?