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「J・G・バラード短編全集3 終着の浜辺」 J・G・バラード

柳下毅一郎 編  浅倉久志 他 訳  J・G・バラード短編全集  東京創元社

読みかけの棚から
読みかけポイント:「夢の海、時の嵐」のみ読んだ。

バラードは英国のSF作家。SFは心の中「インナースペース」を描くべきだと主張しているニューウェーブを牽引してきた作家。このバラード短編全集は全5巻。図書館の新刊コーナーには3、4巻があって、その第3巻目を借りる。
で、何故かラストの「夢の海、時の嵐」を読む。細かい事情はよくわからないが、宇宙の果て、時が戻ったような幻想(「白鯨」の船等)が立ち現れる星に逃げ込んだ犯罪者を追って警官がやってくる。が、実は犯罪者と一緒にいた妻を殺したのがこの警官らしく、ということはこの犯罪者は妻も幻想としてそれと気づかずずっと見ていたことになる、という話の筋よりシーンの情景をただただ味わう方がいいのだろう・・・
以下は、この短編に寄せた作者自身の言葉から。

 移行地帯には昔から魅了されている。
 川に降りていく階段、なかば水没した飛行機機体の水による屈曲、夜と昼との境となる休止時間。わたしはそんな領域で永遠に生きていたいと思うし、ひょっとしたらすでにそこにいながら自分でも気づいていないだけなのかもしれない。それこそが我々の心の中で夢と郷愁が永遠に立ち上がる場所なのである。
(p405)


(2017 10/11)

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