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映画「世界は広いー救いは何処にでもある」

ステファン・コマンダレフ 監督  2008年ブルガリア

ユーロデイズ2010、近代美術館フィルムセンターにて。

ユーロデイズ2010の一つを見てきました。宝町と京橋の間にある近代美術館フィルムセンター。 

「世界は広いー救いは何処にでもある」というブルガリア映画。失くした記憶の再構築と、帰郷の二人旅とまとめることができる。この映画の鍵というかなんというかはバックギャモン。サイコロを振るのは自分だから、どの目を出すかも、あるいはどんな生き方をするのかも自分次第、というところかな。ドイツーハンガリーースロベニアーイタリアと旅するのだけれど、あとはクロアチアとセルビア辺り通って帰ったんでしょうかね?実際に自転車で行くとどのくらいかかるのでしょうか? 

後は、少し気になった点。 

1、主人公の青年が初恋をし、また後になって記憶を再構築するのがイタリア・トリエステの難民収容所なのだけれど、初恋の時期がまあだいたい9-10歳って感じ。えーっと、最近この時期は「前思春期」といって感覚記憶から意味体系づけられた記憶に変わり、強烈な自己体験をする時期である、と知ったのですが、この映画でもここら辺にキーがあるのかも? 

2、子供の頃の記憶の回想?シーンはトリエステからドイツへ向かうところで終わっている。その後は本人が語る父親との別居、そして急に戻ってきてブルガリアへ帰る(そこで事故を起こして記憶がなくなるのだけれど)という展開になる。なんで、父親は別居してそしてまた戻ったのだろうか?そこのところは映画では言及がない。それは主人公のこれからの成長段階において、父親の生を、そして父親の生きられなかった生を(両親は事故で亡くなっている)生きて見つけていく、ということなんでしょうか? でも、バックギャモンなんてやったことないなあ(笑) 

びっくりしたのは、まあなんと400人の座席が満杯になるほどにお客さんいたということ。甘くみていた。すみません。ブルガリア人?という客層と日本人が2:8あるいは3:7くらいか?
ま、500円だし。
(2010 06/13)

今イリヤ・トロヤノフの「世界収集家」読んでいるのだが、この映画に脚本参加してたみたい。DVDも出ててその邦題が「さあ帰ろう、ペダルをこいで」になっている(この映画見た時のタイトルは原題直訳)
(2019  06/26)

「世界は広いー救いはどこにでもある」は、どうやら1996年発表のトロヤノフ最初の小説だったらしい。その前に1993年に東アフリカ神話の本を出し、その前の1989年にアフリカ文学専門マリーノ出版を設立したという。
(2019  08/25)

「世界収集家」の記録はこちら ↓


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