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「歴史家が見る現代世界」 入江昭

講談社現代新書

歴史家が見る現代世界
今日は下高井戸で入江昭氏の「歴史家が見る現代世界」(講談社現代新書)を買って、そのまま読み切り。

日米関係外交などを専門としてきたアメリカ在住の歴史家が、ナショナルなものからトランスナショナルな動きへと関心を向け始めて書いた啓発書。「現代」はいつから始まるのか、という冒頭の問いに、トランスナショナルの動きがでてきた1970年代からではないか、という答えを導いている。

 現代世界はグローバル化が冷戦より優位に立った時点に始まったのである。換言すれば、第二次世界大戦後の新帝国主義はグローバル化の波を止めることはできなかったということである。
(p45)


実際にいろいろな世界の人々と接触してくると、国籍とかよりも他の属性の方に共通性を見つけ出すことが多い、と指摘。大戦後のドイツと英国その他の若者のつながりの研究とか、高齢者や障害者がその持つ様々な問題や記憶によって結びつくとかは、今までの自分の視点にはなかったところだ。

 したがって現在世界に住む七十億の人の数だけ記憶が存在しており、しかもそれは常に変化しうるものである。
(p234)


当たり前のことだけれど、よくよく考えてみると恐ろしいような気もする。
全体的には細かい成果よりも全体的な流れを概説した本。ちょっと理想化し過ぎている気もしてるのだが。
(2014 11/30)

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