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「ルネサンス理想都市」 中嶋和郎

講談社選書メチエ  講談社

読みかけの棚から
読みかけポイント:序と第4章をかじった程度


第一章 ペーパー・シティー-夢の設計図
  1 初期ルネサンス建築論
  2 後期ルネサンス建築論
  3 夢想のユートピア
第二章 ペインティッド・シティー-幻想の都市風景
  1 透視図画法によって描かれた都市
  2 舞台装置としてのモデル・シティー
第三章 天才たちの理想都市
  1 レオナルド・ダ・ヴィンチ
  2 ラッファエッロ
  3 ミケランジェロ
第四章 ビルド・シティーⅠ-実現された理想都市
  1 初期ルネサンス理想都市
  2 後期ルネサンス理想都市
  3 軍事的理想都市
第五章 ビルド・シティーⅡ-理想都市の部分的実現
  1 新しいパラッツォ-ウルビーノ
  2 十字路を中心とした新しい地区-フェッラーラ
  3 まっすぐの大通り-ジェノヴァ
  4 三叉路-ローマ
終章
参考文献
あとがき
索引


「序」を読んだ。

 そしてとくに円形は、ルネサンスの文化的条件である、宇宙に関する新しい概念、人文主義、数学、技術、そして芸術の統合を象徴することになった。合理的思考と科学的方法による理論的抽象は、円形という理想的形態へとつながっていき、その形態は都市にまで適用された。
(p8-9)


古代ローマのヴィトルヴィウスからルネサンスのアルベルティ、そのアルベルティの同時代(というか少し先んじて)ブルネッスキという「ルネサンス最初の建築家」と称される人がいる。フィレンツェのアヌンツィアータ広場などにその統一的思考が見られるが、彼はアルベルティのようには書物を残さなかった。
(2021 12/06)

第四章のピエンツァから少し。
教皇ピウス2世(元詩人)、建築家アルベルティ、実際の担当ロッセリーノ。ピウス2世の生地コルシニャーノ(シエナ郊外)に新たな聖堂と教皇のパラッツォを建築。聖堂は元々あったロマネスクのサンタ・マリア教会堂の東西軸を壊して、建築的・美的に南北軸にした。パラッツォは広場に面した側は幾何学的ルネサンス様式、反対側は田舎のヴィラ様式という組み合わせ。通りはゆるく蛇行し、アルベルティの書いた条件に合う。広場に向かって徐々に広くなっていく形状に周りの建物を調整したという。

 いうならば、十五世紀ルネサンスの計画理性は、フォーマル-インフォーマル、シンメトリー-アシンメトリー、規則的-不規則的、合理的-有機的という、ルネサンスと中世の相対立するさまざまな概念のあいだをいまだに曖昧に行き来し、さまよっていたということができる。
(p152)


(2021 12/11)

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