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「境界なき土地」 ホセ・ドノソ
寺尾隆吉 訳 フィクションのエル・ドラード 水声社
「境界なき土地」
今日購入した「境界なき土地」を読みきってしまう。まあ150ページほどなんだけどね。
この作品、実は「夜のみだらな鳥」の一挿話だったのが分離してできたもの。書き方が複数の人物の声が混じるようにわざとしてある。境界なき声であり人物である。まもなく消えようとしている小さな農村の娼館で、おかまのダンサー兼オーナーのマヌエラ始めとする奇妙な人々がそれぞれの思惑を溶かし合う…
人が来なくなったってかまわない、すべては終わりゆくだけ。終わりゆくものはいつも平和、変わらないものはいつも終わりを目指し、終わりへと近づいていく。恐ろしいのは希望。
(p160)
これはマヌエラの娘の堅実かつ性的恐怖症気味のハポネシータの言葉。閉じ込められることへの不安と安堵。この作品の登場人物はだいたいがこの裏表の感情の間で揺れ動いている。そして、私達も…
(2014 02/15)
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