手記#14 ファントムクォーツは砕けない
皆さん、こんにちは。
なるせふみです。
クリストロンマイスター手記、前回の更新から既に1年が経過しました。
まずはこの手記を手に取っていただき、ありがとうございます。
今回の手記では、これまでの【水晶機巧】デッキの経過と、2023年8月時点での私なりの答えについて書いていきます。
1.これまでの経過
まず、2022年7月、【水晶機巧】を支え続けてきた「水晶機巧－ハリファイバー」が禁止カードに指定されました。これにより、ハリダグザワンマジデスサイズバロネスができなくなっただけでなく、既存の展開方法(「ジェネクス・ウンディーネ」を使った1枚初動等)がほとんど使なくなり、構築の見直しを余儀なくされました。
次に私が辿り着いたのは、「スプライト・エルフ」を使った展開です。「スプライト・エルフ」は墓地のレベル2モンスターを自分・相手ターンに特殊召喚する効果を持っています。これにより、「プラシレータ」「シトリィ」を墓から特殊召喚し、S素材を調達することができました。おまけに「エルフ」のリンク先のモンスターは相手の効果の対象にならないため、相手の効果の対象にならない「グリオンガンド」が爆誕したわけです。
これで「ハリファイバー」亡き後も、【水晶機巧】デッキは維持できると思われました。
しかし...。
今度は2023年4月に「スプライト・エルフ」が禁止カードに指定されてしまいました。
これで相手ターンのS素材の準備もできず、相手の妨害に対する耐性も失い、【水晶機巧】デッキは混迷を極めました。
実際、「スプライト・エルフ」が禁止カードに指定されて以降、私は【水晶機巧】デッキを半壊させています。
「シンクロン」「TG」等に強力な新規カードが追加される一方で、「水晶機巧」としての新規は1枚もなく、これ以上【水晶機巧】は保たないと思い始めた矢先...。
2023年7月の「遊戯王の日」で、「幻影騎士団」型の【水晶機巧】デッキを組んでいる人と出会い、「そういやそういう型も組んでいたなぁ」と昔を思い出しました。
その時、クリストロン・マイスターとして自分にできることは、「水晶機巧」を忘れ去られないようにすること、今まで培った技術を保持することだと自覚しました。既に大会環境に殴り込む力も失った今、せめて楽しく遊べる「水晶機巧」を残したいと考えたわけです。
長くなりましたが、以上が、手記の更新が止まってからの顛末でした。
次に、今回の主題、【幻影騎士団＋水晶機巧】の強みについて書いていきます。
2.デッキレシピ
まずはレシピを。
「幻影騎士団」の基本パーツ(「ダスティローブ」「サイレントブーツ」「ティアースケイル」)を採用し、「彼岸の黒天使ケルビーニ」で「シストバーン」「スモーガー」を墓地に送ることで、全ての「クリストロン」カードにアクセスできるようになっています。...しかし、これだけではS素材の調達もできず、「グリオンガンド」や「トリシューラ」のような大型Sモンスターを出すことができません。
そこで悩みに悩んだ結果、「幻影騎士団」の特徴に辿り着きました。
そうです。
モンスターとなる通常罠カードです。幻影騎士団の中には、「シャドーベイル」をはじめとした、「発動後にモンスターとなる通常罠カード」がいくつか存在します。
今回は「シェード・ブリガンダイン」「ロスト・ヴァンブレイズ」の2枚を採用しました。「シェード・ブリガンダイン」は【幻影騎士団】デッキ等でよく採用されていますが、「ロスト・ヴァンブレイズ」は中々見かけないカードだと思います。
「幻影騎士団ロスト・ヴァンブレイズ」
①：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は６００ダウンし、レベルは２になり、自分の「幻影騎士団」モンスターは戦闘では破壊されない。その後、このカードは通常モンスター（戦士族・闇・星２・攻６００／守０）となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する（罠カードとしては扱わない）。
表側表示モンスターを対象にし、そのモンスターのレベルを2にした上で、通常モンスターとして特殊召喚されます。つまり、相手ターン中にレベル2モンスターを2体用意出来るというわけです。後はレベル5のモンスター（「アクセル・シンクロン」等）を用意できれば、
2＋2＋5＝9
即ち「トリシューラ」や「グリオンガンド」のS召喚を狙えます。
また、この「ロスト・ヴァンブレイズ」は既存モンスター「水晶機巧－リオン」のサポートカードとしても相性が良いです。「リオン」は除外されているモンスターを特殊召喚し、機械族SモンスターをS召喚する効果を持っています。しかし、「水晶機巧」のカテゴリ内には、能動的に除外出来るレベル1のモンスターがおらず、「リオン」を使って「クオンダム」を出すことが至難の業でした。一応「プラシレータ」を使えばレベル5の「アクセル・シンクロンl」を出すことは出来ますが、それは「プラシレータ」の②効果（手札から「水晶機巧」を特殊召喚する）を使う展開でしか実現しません。正直に言ってこれは狙いにくいです。
話を戻すと、「リオン」のレベルを「ロスト・ヴァンブレイズ」の効果で2にしてしまうことで、豊富に除外されているはずのレベル3モンスターと一緒に「アクセル・シンクロン」を出そう、ということです。「水晶機巧」「幻影騎士団」共に墓地から除外して効果を発動でき、除外状態のカードも多いはず。これを活用しない手はありません。
これでレベル5のSチューナーと、レベル2の非チューナーが揃いました。あとはレベル2のチューナー「シトリィ」を用意すれば「グリオンガンド」、レベル4の非チューナー「シェード・ブリガンダイン」を用意すれば「氷結界の還零龍 トリシューラ」をそれぞれS召喚することが出来ます。
3.展開例
では、展開の一例を見てみましょう。
初動（1）「ウンディーネ」
「ジェネクス・ウンディーネ」
＋「ローズニクス」または「サルファフナー」
※今回は「ローズニクス」から動きます。
「ウンディーネ」召喚し効果発動。
コストで「サルファフナー」を墓地に送り、「コントローラー」を手札に加える。
「サルファフナー」①効果発動。
コストで「ローズニクス」を墓地に送り、自身を特殊召喚し自壊する。
「サルファフナー」②効果発動。
デッキから「プラシレータ」を特殊召喚する。
墓地の「ローズニクス」効果発動。トークンを特殊召喚する。
トークン1体を素材に「リンク・スパイダー」をL召喚。
「リンク・スパイダー」効果発動。リンク先に「コントローラー」を特殊召喚。
「スパイダー」「ウンディーネ」を素材に「S：P リトルナイト」を、「コントローラー」と「S：P リトルナイト」を素材に「ラスティ・バルディッシュ」をL召喚。
「ラスティバルディッシュ」効果発動。「ダスティローブ」を墓地に送り「ロスト・ヴァンブレイズ」をセットする。
墓地の「ダスティローブ」の効果発動。「サイレントブーツ」を手札に加える。
「サイレントブーツ」を特殊召喚。
「プラシレータ」効果発動。「サイレントブーツ」を破壊し、「リオン」を特殊召喚する。
墓地の「サイレントブーツ」効果発動。「シェード・ブリガンダイン」を手札に加えてセットする。
相手ターン
スタンバイフェイズに「ロスト・ヴァンブレイズ」を発動。「リオン」のレベルを2にして「ロスト・ヴァンブレイズ」を特殊召喚する。
メインフェイズに行動開始。
まずは「リオン」効果発動。「ダスティローブ」を特殊召喚し、「アクセル・シンクロン」をS召喚する。
「シェード・ブリガンダイン」を発動。通常モンスターとして特殊召喚する。
「アクセル・シンクロン」効果発動。「氷結界の還零龍 トリシューラ」をS召喚する。
初動（2）「ティア―スケイル」
「ティアースケイル」
＋「シストバーン」または「スモーガー」または「サルファフナー」
※今回は「サルファフナー」を初動に使います。
「ティアースケイル」効果発動。手札から「サルファフナー」を捨て、「ダスティローブ」を墓地に送る。
「ダスティローブ」効果発動。「サイレントブーツ」を手札に加える。
「サイレントブーツ」を特殊召喚し、「ティアースケイル」「サイレントブーツ」を素材に「ケルビーニ」をL召喚する。
「ケルビーニ」効果発動。コストとして「シストバーン」を墓地に送る。
「シストバーン」効果発動し、「スモーガー」を手札に加える。
墓地の「サルファフナー」①効果発動。コストとして「スモーガー」を捨て、自身を特殊召喚した後に自壊する。
「サルファフナー」②効果を発動。デッキから「プラシレータ」を特殊召喚する。
「スモーガー」②効果発動。「クリストロン・インパクト」を手札に加える。
「サイレントブーツ」効果発動。「ロスト・ヴァンブレイズ」をデッキから手札に加える。
墓地の「ティアースケイル」効果発動。自身を特殊召喚する。
「ケルビーニ」「ティアースケイル」の2体で「ラスティ・バルディッシュ」をL召喚。
「ラスティ・バルディッシュ」効果発動。「ダスティローブ」（2枚目）を墓地に送り、「幻影霧剣」をセットする。
「プラシレータ」①効果発動。自身を破壊して「シトリィ」を特殊する。
手札の「ロスト・ヴァンブレイズ」「インパクト」をセットしてターン終了。
相手ターン
スタンバイフェイズに「ロスト・ヴァンブレイズ」を発動。「シトリィ」を対象とし、自身を特殊召喚する（注：レベル2のモンスターを対象に「ロストヴァンブレイズ」を発動し、「ロストヴァンブレイズ」自身を特殊召喚することは可能）。
相手メインフェイズ
「シトリィ」の効果発動。墓地の「ダスティローブ」を特殊召喚し、「アクセル・シンクロン」をS召喚する。
「クリストロン・インパクト」発動。除外状態の「シトリィ」を特殊召喚する。
「アクセル・シンクロン」効果発動。「水晶機巧－グリオンガンド」をS召喚する。
「サイレントブーツ」で手札に加えるカードを変えれば、「氷結界の還零龍 トリシューラ」もS召喚可能です。
初動（3）汎用レベル３
「ダスティローブ」
＋「スモーガー」または「シストバーン」または「サルファフナー」
＋特殊召喚できるレベル3モンスター
※今回は、「ダスティローブ」「サイコトラッカー」「スモーガー」の3枚で初動を作ります。
「ダスティローブ」通常召喚。
「サイコトラッカー」特殊召喚。
「ダスティローブ」「サイコトラッカー」を素材に「ケルビーニ」をL召喚。
「ケルビーニ」効果発動。コストとして「シストバーン」を墓地に送る。
「シストバーン」効果発動。「サルファフナー」を手札に加える。
「サルファフナー」①効果発動。コストとして「スモーガー」を捨て自身を特殊召喚し、その後自壊する。
「サルファフナー」②効果発動。デッキから「ローズニクス」を特殊召喚する。
墓地の「スモーガー」効果発動。「クリストロン・インパクト」を手札に加える。
墓地の「サイレントブーツ」効果発動。「シェード・ブリガンダイン」を手札に加え、セットする。
セットしていた「シェード・ブリガンダイン」を発動。自身を特殊召喚する。
「ケルビーニ」と「シェード・ブリガンダイン」を素材に「ラスティバルディッシュ」をL召喚。
「ラスティ・バルディッシュ」効果発動。「サイレントブーツ」を墓地に送り「ロスト・ヴァンブレイズ」をセットする。
「サイレントブーツ」効果発動。「幻影霧剣」を手札に加えてセットする。
「ローズニクス」効果発動。「ラスティ・バルディッシュ」を破壊してデッキから「リオン」を特殊召喚する。
ターン終了
相手ターン
スタンバイフェイズ
「ロスト・ヴァンブレイズ」を発動。「リオン」を対象とし、自身を特殊召喚する。
メインフェイズ
「リオン」効果発動。除外状態の「ダスティローブ」を対象として特殊召喚し、「アクセル・シンクロン」をS召喚する。
「アクセル・シンクロン」効果発動。「アクセル・シンクロン」「ローズニクス」「ロスト・ヴァンブレイズ」の3体を素材に「氷結界の還零龍 トリシューラ」をS召喚する。
※この状態で、まだ「インパクト」「幻影霧剣」を温存できています。
このように、「ロスト・ヴァンブレイズ」を活用してレベルを合わせ、大型モンスターのS召喚も狙いつつ、必要に応じて「幻影霧剣」で相手を妨害しましょう。
４.終わりに
この記事も最後になりますが、この【幻影騎士団＋水晶機巧】デッキの紹介はおそらく今後も続きます。
「ウンディーネ」1枚で「ラスティバルディッシュ」を用意できるようになったり、今まで使いづらかった「リオン」に明確な採用理由を与えられたりと、面白いことがいっぱい詰まっていますから。
これからも、『クリストロン・マイスター手記』をよろしくお願いいたします。
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