心の紋章を紡ぐ女たちのマヤ暦の物語 #1 赤い龍 パターン2

赤い竜(Imix): 創造、誕生、始まり

広告代理店 エリート社員 山本麻美(38才)

赤い竜の希望

@mayanstreet

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キャリアウーマンの悩み

東京の高層ビル群が朝日に輝く頃、山本麻美は既にオフィスで仕事に没頭していた。30代半ばの彼女は、広告代理店のエース社員として知られていた。スマートなスーツに身を包み、黒縁の眼鏡越しに鋭い眼差しを向ける麻美の姿は、まさに理想のキャリアウーマンそのものだった。

「山本さん、この企画書、素晴らしいです!」
後輩の田中が興奮気味に声をかけてきた。麻美は優しく微笑み、「ありがとう。でも、まだ改善の余地はあるわ」と謙虚に答えた。

麻美の仕事ぶりは完璧だった。しかし、彼女の心の奥底には、満たされない何かが潜んでいた。それは子供を持ちたいという本能ともいえるほどの、強い願望だった。

オフィスの窓から外を眺めると、公園で遊ぶ親子連れが目に入った。麻美は思わずため息をつき、胸に手を当てた。「いつか私も…」そんな思いを胸に秘めながら、彼女は再び仕事に戻った。

不意のプロポーズ

その夜、麻美は長年付き合っている恋人の健一と、お気に入りのレストランで食事をしていた。キャンドルの柔らかな光が二人を包み、静かな音楽が流れる中、健一が突然口を開いた。

「麻美、結婚しよう」
麻美は驚きのあまり、フォークを落としそうになった。「え?本当?」
健一は真剣な表情で頷いた。「ずっと考えていたんだ。君と家族を作りたい」

麻美の目に涙が浮かんだ。長年抱いてきた願いが、ついに現実になろうとしていた。しかし、その喜びもつかの間、思いがけない出来事が彼女を襲った。

流産の悲劇

数週間後、麻美は突然の吐き気に襲われ、妊娠検査薬で確認すると陽性反応が出た。予期せぬ妊娠に、麻美と健一は驚きと喜びで抱き合った。

「健一、私たち、パパとママになるのね」麻美は健一の手を握りしめながら、幸せに満ちた声で言った。
「ああ、一緒に素敵な家族を作ろう」健一も同じように喜びに満ちた表情で応えた。

しかし、その幸せは長くは続かなかった。結婚後間もなく、麻美は突然の腹痛に見舞われ、病院へ急行した。診察室で医師から告げられたのは、流産という残酷な現実だった。

「どうして…私たちの赤ちゃんが…」
麻美は涙を流しながら、健一と共にその悲しみに打ちひしがれた。病院の廊下は白く冷たく、二人の悲しみを際立たせるようだった。

繰り返される流産

時間が経つにつれ、麻美は再び妊娠を望むようになった。しかし、再び妊娠しても3ヶ月目で流産してしまうということが繰り返された。最初の流産の時は深い悲しみに包まれたが、次第にその悲しみは麻痺し、自分が何も感じなくなっていくことに恐怖を覚えた。

「私はこのまま母親になることができないのだろうか…」麻美は毎晩そう自問自答しながら、眠れない夜を過ごした。窓の外では、満月が静かに輝いていた。その光は、麻美の心の闇を照らし出すかのようだった。

偶然の出会い

ある日、インターネットで「マヤ暦カウンセリング」のことを知った麻美は、最後の望みをかけてカウンセリングを受けることに決めた。

カウンセリングの日、麻美は緊張しながらカウンセラーの奈緒美のオフィスを訪れた。部屋には温かみのある照明が灯され、壁にはマヤ暦の図柄が飾られていた。奈緒美は静かな笑顔で麻美を迎え入れ、温かな声で話しかけた。

「こんにちは、麻美さん。今日はどんなことでお悩みですか?」

麻美は深呼吸をして、胸の内の苦しさを伝え始めた。
「結婚してから何度も妊娠したのですが、毎回3ヶ月目で流産してしまいました。最初はとても悲しかったのですが、今はその悲しみにも慣れてしまって…それがまた怖いんです。これ以上挑戦を続けるべきか、もう諦めるべきか、悩んでいます。」
言葉を紡ぐ度に、これまで押し殺してきた感情が溢れ出した。

カウンセリングの光

奈緒美は静かにうなずきながら、麻美の話をじっくりと聞いた。彼女の言葉には深い共感と理解が感じられた。

「麻美さん、あなたが感じている麻痺は、深い悲しみから心を守るための防御反応なんです。それは決して悪いことではありません。むしろ、あなたの心が自分を守ろうとしている証なのです。」

麻美は驚いた表情を浮かべた。「防御反応…」

奈緒美は優しく微笑みながら続けた。「今、その防御を少しずつ解いていきましょう。あなたの心の奥底にある本当の気持ちに耳を傾けてみましょう。」

奈緒美の導きに従い、麻美は目を閉じ、自分の内面と向き合った。そこで彼女は、小さな光の中に赤ちゃんの姿を見た。愛おしさと恐れが入り混じる複雑な感情に、麻美の頬を涙が伝った。

「痛いんです…でも、諦めたくない。まだ…まだ赤ちゃんを抱きしめたいんです。」

奈緒美は静かにうなずいた。「麻美さん、あなたの中にある、その命を育みたいという希望に気づきましたね。それがあなたの本当の気持ちなんです。」

奈緒美は続けた。
「麻美さん、あなたのマヤ暦の紋章は『赤い竜』、マヤ語で『イミッシュ(Imix)』と呼ばれるものです。この紋章は非常に興味深い意味を持っています。赤い竜は新たな始まりと創造を象徴し、生命力と母性の源とされています。まさにあなたの魂の声を表しているようですね。この紋章は、新しい物事を始める勇気や、豊かな創造性、そして深い母性愛を示唆しています。あなたの中にある、命を育みたいという強い願いは、この赤い竜の特質と深く結びついているのかもしれません。」
新たな始まりと創造、生命力と母性を象徴するその紋章は、まさに麻美の魂の声を表していた。

決意の再出発

カウンセリングを終えた麻美は、新たな決意を胸に抱いていた。自分の深い願いが命を授かり育むことにあると気づいた彼女は、これまでの生き方を見直す必要性を感じていた。

まず、麻美は勇気を出して不妊治療専門の病院を訪れた。医師との相談の結果、ホルモン注射による治療を受けることになったが、それと同時に、ライフスタイルの大幅な変更も提案された。

「山本さん、治療と並行して、ストレス軽減と十分な休養が大切です。仕事のペースを落とすことも検討してみてはいかがでしょうか」と医師は優しく語りかけた。

麻美は一瞬躊躇した。キャリア優先の生き方を手放すことは、彼女にとって大きな決断だった。しかし、カウンセリングで気づいた自分の本当の願いを思い出し、深呼吸をして答えた。

「分かりました。会社と相談して、仕事量を調整してみます」

新しいライフスタイル

その日から、麻美の生活は大きく変わり始めた。まず、上司と話し合い、残業を極力減らし、一部の業務を後輩に委譲することにした。最初は不安もあったが、意外にもチームのパフォーマンスは落ちることなく、むしろ後輩たちの成長の機会となった。

朝はゆっくりと目覚め、ヨガで体をほぐすことから一日を始めるようになった。窓から差し込む朝日を浴びながら、深呼吸を繰り返す麻美の表情は、以前よりも柔らかくなっていた。

昼食時には短い瞑想の時間を設け、心身のリラックスを心がけた。オフィスの喧騒から少し離れ、静かな場所で目を閉じる麻美の姿は、同僚たちの注目を集めた。

夜は早めに帰宅し、健一と一緒に栄養バランスの取れた夕食を楽しむ時間を作った。二人で料理を作りながら会話を交わす時間は、お互いの絆を深める貴重な機会となった。

週末には自然の中でゆっくりと過ごし、心身をリフレッシュさせた。森の中を散歩しながら、木々のざわめきや小鳥のさえずりに耳を傾ける麻美は、徐々に自然との一体感を感じるようになった。

望みの再確認

麻美は徐々に、この新しいライフスタイルに馴染んでいった。そして気がつけば、以前よりも穏やかで充実した日々を過ごせるようになっていた。

「これが最後の挑戦だ」と自分に言い聞かせながら、麻美は治療を受け続けた。そして、ライフスタイルの変更から3ヶ月が経った頃、待望の知らせが届いた。

妊娠検査薬が陽性を示したとき、麻美は喜びと共に、これまでの努力が報われた安堵感に包まれた。健一に報告すると、二人で抱き合って喜びを分かち合った。

「お医者さんの言う通り、ストレスを減らして休養をとったことが良かったのかもしれないね」と健一が優しく語りかけた。

麻美はうなずきながら答えた。「そうね。でも、それ以上に、自分の本当の願いに正直になれたことが大きかったと思う。キャリアも大切だけど、命を育むことも、私の心の奥底からの望みだったんだって、今はっきりと分かるわ」

その後の検診でも、順調な妊娠の経過が確認された。麻美は、3ヶ月の壁を無事に越えたとき、これまでの苦しみが報われた喜びで胸がいっぱいになった。


新たな命の誕生

新しい命の到来

新しい命を宿した体を大切にしながら、麻美は穏やかな日々を過ごしていった。仕事と家庭のバランスを取ることの難しさは依然としてあった。その都度、自分の本当の願いを見失わないよう心がけることで、一つ一つの困難を乗り越えていった。

そして、待ちに待った日がやってきた。陣痛が始まり、麻美は健一に付き添われて病院へ向かった。長い陣痛の末、ついに我が子を抱きしめた瞬間、麻美の目から喜びの涙があふれ出た。

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
医師の声が、まるで遠くから聞こえてくるかのようだった。麻美の世界は、今この瞬間、腕の中で静かに眠る小さな生命だけで満たされていた。

家族の絆

健一もまた、その瞬間に立ち会い、感動の涙を流した。二人の間に生まれた小さな命は、これまでの苦しみや悲しみを全て洗い流すかのように、輝いていた。

赤ちゃんが成長するにつれて、麻美は毎日の子育てに追われるようになった。夜泣きやオムツ替え、離乳食の準備など、初めての育児に戸惑うことも多かった。しかし、赤ちゃんの笑顔や成長を見るたびに、その苦労は全て報われるものだった。

子育ての喜び

ある日、健一が仕事から帰宅すると、麻美は疲れ切った表情でソファに座っていた。健一は心配そうに尋ねた。

「大丈夫?今日は何かあったの?」

麻美は答えた。「ただちょっと疲れただけ。子供は可愛いけど、どうしようもない時もあるわ。」
健一は麻美を抱きしめ、優しく言った。「君がいてくれるから、僕たちは家族として幸せなんだ。僕にできることがあれば言って。」

麻美は、その言葉に甘える勇気を出した。「ありがとう。今夜は、一人でゆっくり寝たい。あなたが子供と一緒に寝てくれない?」

その後、子育てに伴う小さな挑戦の繰り返しが、家族の絆を深め、人生を豊かにしていった。

新たな光

息子が保育園に通い始めた頃、麻美は再び仕事に復帰した。以前とは違う視点で仕事に取り組むようになり、より効率的に、そして創造的に仕事をこなすようになった。彼女の経験は、後輩たちにも良い影響を与えていた。

ある日、若手の女性社員が麻美のデスクに近づいてきた。彼女の目には憧れと不安が混ざっているように見えた。

「麻美さん、少しお話してもいいですか?」と彼女は躊躇いがちに尋ねた。

麻美は優しく微笑んで答えた。「もちろんよ。何かあったの?」

後輩へのアドバイス

若手社員は深呼吸をして、言葉を選びながら話し始めた。「麻美さん、どうやってワークライフバランスを保っているんですか?仕事も家庭も、すべてうまくいっているように見えて…私にはとても真似できそうにありません。」

麻美は一瞬、過去の自分を思い出した。完璧を求めすぎて、自分の痛みを無視し、本当に欲しかった命を失い続けた日々。彼女は深呼吸をして、優しく微笑んだ。

「完璧を求めすぎないことかな。」麻美は静かに答えた。「以前の私は、仕事でも家庭でも常に100%を目指していたの。でも、そうすることで自分自身を見失ってしまっていたんだ。」

麻美は少し間を置いて、続けた。

「自分の本当の願いや気持ちを無視して頑張り続けると、大切なものを失うことがあるの。私の場合は…」彼女は少し躊躇したが、正直に話すことにした。「子供を授かる機会を何度も逃してしまったわ。」

若手社員は驚いた表情を浮かべたが、真剣に聞いていた。

「だから今は、自分の時間も大切にすることを心がけているの。自分の気持ちや体調に耳を傾けて、時には休むことも大切だと学んだわ。」

麻美は自分の机の上に置かれた家族写真を見つめながら続けた。

「そして、必要だと感じたら、周りの人々に、サポートをお願いするようにしている。助けてってお願いすること、そのためにお互いの意思を伝えながら調整し合うことも、私にとってはとても難しいことよ。だけどそれは、大人の責任だと思うの。完璧な親なんていないし、完璧な社員もいない。でも、お互いに支え合うことで、より良い結果を生み出せると信じているの。」

若手社員はうなずきながら、麻美の言葉を熱心に聞いていた。

「最後に大切なのは、自分の本当の願いを見失わないこと。仕事も大切だけど、家族との時間や自分自身との対話の時間も同じくらい大切。バランスを取るのは決して簡単じゃないけど、自分の心の声に耳を傾けることで、少しずつ見つけていけるわ。」

麻美の言葉は、単なるアドバイス以上の重みがあった。それは、苦難を乗り越え、自分自身と向き合ってきた人間だからこそ語れる言葉だった。

若手社員は深く感銘を受けた様子で、「ありがとうございます、麻美さん。私も自分の本当の願いを大切にしながら、仕事も頑張ります。」と答えた。

麻美は優しく微笑んだ。過去の苦しい経験が、今では誰かの力になれることに、彼女は密かな喜びを感じていた。そして、自分自身も日々学び続けていることを実感していた。

新たな輝き

家族との時間

家族との時間も、麻美にとってかけがえのないものとなっていた。休日には公園でピクニックをしたり、動物園に行ったりと、息子との時間を大切にしていた。そんな日々の中で、麻美は自分の中に眠っていた「母性」に気づいていった。

それは決して完璧なものではなかった。時には息子に対して怒ってしまったり、疲れて十分に関われないこともあった。しかし、そんな不完全さも含めて、麻美は自分の「母性」を受け入れていった。

「完璧な母親なんていない。でも、最善を尽くすことはできる」

そう自分に言い聞かせながら、麻美は日々を過ごしていた。

夫との絆

ある夜、息子を寝かしつけた後、麻美は健一と二人でリビングに座っていた。窓の外では、満月が夜空を明るく照らしていた。

「ねえ、健一」麻美が静かに話しかけた。

「なに?」健一は優しく応えた。

「私たち、よく頑張ってきたわね」

健一は麻美の手を握り、微笑んだ。「ああ、本当によく頑張った。でも、これからもまだまだ頑張らなきゃならないんだろうな」

麻美はうなずいた。「そうね。でも、二人で一緒なら、きっと乗り越えられるわ」

二人は窓の外を見つめた。満月の光は、まるで二人の未来を照らしているかのようだった。

赤い竜の力

麻美は深呼吸をした。かつての苦しみや迷いは、今では遠い記憶のようだった。しかし、その経験が今の自分を作り上げたことを、彼女は忘れていなかった。

「赤い竜」の紋章が示す「新たな始まり」は、決して一度きりのものではなかった。人生の中で何度も訪れる「始まり」に、麻美は今も向き合い続けている。そして、その度に彼女は少しずつ成長し、強くなっていくのだった。

麻美の物語は、決して終わりではない。これからも続く人生の中で、彼女は「赤い竜」の力を借りながら、新たな挑戦を続けていくだろう。そして、その姿は多くの人々に希望と勇気を与え続けるのだった。

満月の光に照らされた麻美の顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。それは、苦難を乗り越え、自分の真の願いを見出した者だけが持つ、深い満足感に満ちた表情だった。

彼女の人生は、まだまだ始まったばかり。これからも訪れるであろう困難や喜び、そのすべてを受け入れる準備が、今の麻美にはできていた。

「さあ、明日も新しい一日が始まるわ」

麻美はそう呟きながら、健一の手を強く握り締めた。二人の前には、まだ見ぬ未来が広がっていた。それは、きっと希望に満ちた未来なのだろう。


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