「子どものトラウマ」感想


今日は「子どものトラウマ」西澤哲著 の感想を簡単にまとめたいと思う
自分への忘備録の意味も大きい

全体的な印象は著者の深い知識、適切な引用、そこから展開する話が見事で唸りながら読み進めた

タイトルにあるようにトラウマについての話がメインではあるのだが、子どものトラウマになりうる虐待の種類(身体的虐待・ネグレクト・性的虐待・心理的虐待)と、また子供の生育にそれらがどのように影響を及ぼすのか、とても丁寧に書かれていた 

また後半は虐待する親の抱えるトラウマについても言及して、最後はトラウマが癒えることで締められる

私がこの本を手に取ったのは自分の幼少期にトラウマが存在していたからということもあるのだが、それについても読み進める内に理解が深まったと感じている
個人的に去年私がひとりで脳内で昔の自分を癒やすことでトラウマの克服に努めたことが、インナーチャイルドという言葉で本に登場したのは驚いた 経験が先で知識がそれについてくる、というのは読書体験として非常に実りがあった

著者がトラウマが癒えることにいうて引用したヴァン・デア・コークの言葉、
「トラウマになった体験を自分の過去の物語とすること」
については確かにそうだと思う
トラウマはPTSDと言われるようにその瞬間が本人の中で受け止めきれず瞬間冷凍される いわば異物として切り離し自分の経験ではないとする心の防御反応でもある
しかしそれだと、そのトラウマを思い出すたびに新鮮に自分の中で繰り返される 
そのトラウマを自分の「過去」として取り込むことが出来れば、ということは本を読んでいたらすんなりと納得することができた もちろん痛みを伴うことではあるのだけど

これは個人の体験としての話だけど、読了後、度々言葉を引用されていたヴァン・デア・コークが気になって本人が書いた本を調べると、三年前に買って積んでおいた「身体はトラウマを記憶する」が彼の本だったと知って息を飲んだ 買った当時はまだトラウマの克服の前で読んでいて辛かったためまだまだ未読だが、この本を読んだ今、「やっと読む時が来たか!」という気持ちになったので来月にでも読んでみようと思う ただ668ページあるので気合は必要そう


「子どものトラウマ」というタイトルだが、かつて子どもであったすべての大人にとっても意味のある本だと感じた
また第一版が1997年と20年以上前の本ではあるが、時代に左右されない不変のことが書かれていると思う
トラウマがある人には気軽に進められるものではないが、私は読んで良かった



ひとつひとつの章についての言及は、後から時間があ

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