積極的なライン間へのパスと強度の高いプレッシング
20/21 セリエA 第13節
サッスオーロ vs ミラン
~4-3-3(2-3-2-3)のビルドアップと4-4-2のプレッシング~
今回は、先日行われたセリエA第13節のサッスオーロvsミランにて見られた、サッスオーロのポジショナルプレーを軸としたビルドアップとミランの4-4-2をベースとした強度の高いプレッシングについて分析していきます。
スタメン(home : サッスオーロ)
(away : ミラン)
結果 : サッスオーロ 1 - 2 ミラン
( 前半 0 - 2、後半 1 - 0 )
サッスオーロの攻撃
(ビルドアップ)
① 陣形
サッスオーロはビルドアップ時、下図のような配置となる(数字で表すなら2-3-2-3)。
② プレー展開
プレー展開としては、CBのジャン・マルコ・フェラーリとマルロンの2枚(またはGKのコンシーリを含めた3枚)でパス交換をしながら、相手のプレッシャーラインを越えるような縦パスを積極的に配球する。
例えば下図のように、CBからハーススペース(入口)に立つマキシム・ロペスやトラオレを狙った縦パスを積極的に入れていた。
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また、相手のプレッシングによるスライド対して相手2ボランチのギャップを狙い、相手MFとDFのライン間に下りたCFのデフレルへの縦パスも目立った(下図)。
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ミランの守備
(プレッシング)
① 開始点
ミランはプレッシング時、主に下図の黄色エリアが開始点となる「攻撃的プレッシング」を行っていた。
② 陣形
陣形は下図のように「4-4-2」となる。
③ スイッチと追い込み方
ミランはプレッシング時、サイドのエリアに追い込み、そのエリアでアグレッシブなプレッシングを行っていた。
まず、サイドへの追い込み方としては、FWラインに立つラファエル・レオンとブラヒム・ディアスが下図のように、2枚の相手CBに対して一方が相手アンカーへのパスコースを消すように立ち、もう一方が相手アンカーをマークする。このように、相手アンカーへのパスコースをFWの2枚で消すことでボールをサイドへ誘導する。
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プレッシングのスイッチは、FWラインに立つラファエル・レオンとブラヒム・ディアスで、上記のチャレンジ&カバーを行う中でタイミングを見ながら相手CBへアプローチする。
このとき、全体をボールサイドにスライドさせ、ボールサイドのエリアでマンマークとなる。具体的には、ボランチのトナーリ(右)、ケシエ(左)が相手インサイドMFの位置に立つ選手を、SHのサレマーカーズ(右)、チャルハノール(左)が相手SBを、SBのカラブリア(右)、テオ・エルナンデス(左)が相手ウイングをマークしていた。また、逆サイドのFW(ラファエル・レオン、ブラヒム・ディアス)は相手アンカーをマークしていた。
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④ ライン間
下図のように、サイドのエリアでプレッシングを行う中でDFとMFの2ライン間に縦パスが入った時は、CBのロマニョーリまたはカルルのどちらかがボールの受け手に対してアンティチポを行っていた。
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まず、サッスオーロのビルドアップについては、ポジショナルプレーの原則となる配置(お互いが斜めの位置関係になる)を取ることを意識していた。また、CBからインサイドMFの位置に立つトラオレ、マキシム・ロペスや相手の2ライン間に下りてきたCFのデフレルへの縦パスが非常に目立った。
一方、ミランのプレッシングについては、FWのラファエル・レオンとブラヒム・ディアスの相手アンカーへのパスコースの限定の仕方が非常に上手かった。また、FWの2枚をスイッチとすることで、それより後方のMFやDFの選手は予め相手をマークした状態になり、ポジショナルプレーを軸としたサッスオーロに対しては非常に有効だと思った。