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ニューカッスルに見た敵陣でのプレッシング

22-23 プレミアリーグ 第32節
ニューカッスル vs トッテナム

 今回は、先日行われたプレミアリーグ第32節ニューカッスルvsトッテナム(6-1)での試合で見られた、ニューカッスルの敵陣でのプレッシングについて分析しました。最近のニューカッスルの最大の特徴でもあるハイプレスを手短に解説します。


ニューカッスルの
敵陣でのプレッシング

① 陣形と配置
 ニューカッスルは敵陣でのプレッシング時、下図のように、前線のエリアにてイサク(CF)・ジョエリントン(WG)・マーフィー(WG)・ウィロック(IMF)・ロングスタッフ(IMF)が敵DFと敵中盤に対してマンツーマンで捕まえ、後方のエリアではDFライン4枚+アンカーのギマラインスが陣形「4-1」をコンパクトに保つかたちの配置となっていた。

前線のエリアでは、イサク(CF)・ジョエリントン(WG)・マーフィー(WG)・ウィロック(IMF)・ロングスタッフ(IMF)が敵DFを捕まえマンツーマンとなる。
後方のエリアでは、DFライン4枚(トリッピアー・シェアー・ボットマン・バーン)+アンカーのギマラインスが陣形をコンパクトに保つ。


② プレッシングの開始点
 プレッシングの開始点は、下図のエリアが開始点として設定されていた。※敵陣を3分割したとするときのだいたい真ん中のエリア。

プレッシングの開始点(オレンジのエリア)


③ スイッチ 
 プレッシングのスイッチは、敵のショートパスによるビルドアップに対して、イサク(CF)・ジョエリントン(WG)・マーフィー(WG)・ウィロック(IMF)・ロングスタッフ(IMF)がそれぞれ前線のエリアで敵をマークしながら、敵ボールホルダーへ1枚がパスコースを限定しながら寄せたときがプレッシングのスイッチとなっていた。

プレッシングのスイッチ#1
プレッシングのスイッチ#2
プレッシングのスイッチ#3


④ 追い込み方(プレッシングの狙い)
 
プレッシングの追い込み方としては、まず、前線のエリアでマンツーマンとなることで敵に自由にボールを回させないようを制限していた。その後、前線でマンツーマンとなっているエリアの背後(中央)に縦パスが出た瞬間に、後方のエリアで陣形を維持している4DF+ギマラインスのうち1枚が前に飛び出してボールの受け手にアグレッシブに寄せることでボールを奪うという追い込み方が多く見られた。

前線でのマンツーマンによるプレスの背後へボールが配球されたところを、後方のエリアで陣形を維持しているDFの1枚がボールの受け手にアグレッシブに寄せに出る。(CB : シェアー)
前線でのマンツーマンによるプレスの背後へボールが配球されたところを、後方のエリアで陣形を維持しているDFの1枚がボールの受け手にアグレッシブに寄せに出る。(CB : ボットマン)

 以上のプレッシングの構造によりニューカッスルは(この試合において)、敵陣での守備(プレッシング)時に、敵の縦パスに対して中央のエリアで前に飛び出したCBがボールの受け手に寄せたところでボールを奪うことが多かった。
 そのため、敵陣での守→攻(ポジティブトランジション)の局面では、既に前線に5枚がアタックできる状態となっていて、中央のエリアから効果的なショートカウンターを行うことが可能となっていた。これが、トッテナムに対して大量得点に至った要因の1つであるように感じた。

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