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ひとりごとのようなおぼえがき

今日もいいお天気。明日と明後日の雨に備えて野菜を買っておかないとな。傘をさしたら安定感がなくなって、荷物を持つ姿勢がひどいことになる。

明日は中学校の進路説明会。最近、塾の保護者会、三者面談、そして中学校の体育館で行われた高校説明会。ここ10日くらいの間、ひっきりなしに娘の将来について考える行事がまとまっていて、その間にもムスメは学力テストやら実力判定模試やら、あれこれ受けている。私は親が出席するもの以外はほとんど把握していないから、ミルクティーを作ったりして、ちょいちょい勉強している表情を窺いに部屋をノックする。

ほぼ家の中にいる生活が続いているから、たまに外に出るとびっくりするほど歩みが遅くなっていることに気が付く。この間、試しにグーグルマップで中学校までの所要時間と、私の歩くスピードを比較してみた。きっかり倍の時間がかかっていた。理由は分かってる。少し歩くだけでも動悸が激しいから、ゆたりゆたりと心拍数が上がらないように歩くのが癖になっている。でも、それも正解なのかもしれない。これ以上消耗させるより、少しでも長らえさせたいその一心で、細い糸がちぎれてしまわないように、そっとそっと歩く。

何とか辿りついた学校では、もう寄りかかる場所なしに立って待つことが出来ない。意外に来校者の待つ場所は少ない。雨の中、濡れるベンチに座ることもできず、とりあえずトイレを探す。その間にもすれ違う生徒たちはにこやかに挨拶をする。素直ないい子たちばかり、その挨拶に答える声が息切れで音にならない。諦めて、受付の先生に断りを入れ、時間前の会場の椅子に座り、待たせてもらうことにする。体調管理のできない母親、恥ずかしさ、わがままを聞いてもらう情けなさ。一番後ろの席で何とか息を整えられた頃、休憩時間のムスメに見つかる。

「生きてますか?」

生きなくちゃね。希望する高校へ入るために努力を続けるあなたのために、しっかり治療して元気になるって決めたの。

足元が揺らいでいたら、しっかり立っていられないから。エネルギーがあり余っている人を羨ましがっているだけじゃなくて、小さな小さな一歩を続けていくんだから。

強気で男前なあなたのように、少しでいいから勇気をください。

開始の時刻になり、希望校の先生のお話が始まる。この学校はどんな子であれ居場所がある。変わり者だと言われた子でも、スポーツを熱心にしている子でも、今は周りに話が合う友達がいない子でも、オタク気質の子でも。

やりたいことがある人を応援し、居場所のある学校。

自分で決めた道に進んで、悔いの残らない受験生活を送ってほしい。そしてその先に見えるあの制服を着たあなたを、これからもずっと応援している。

だから、今は見える範囲を穏やかで暮らしやすい環境に整えて、私にしか動かせないこの体を、自分でコントロールしていくの。大袈裟だと笑われても、扱いにくいこの体にこれ以上振り回されることのないように。

格好悪くて情けない想いを、言葉にして残す。もう繰り返しちゃだめだよって、未来の私へのおぼえがき。




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