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たべものエッセイ 5

「納豆の食べ方」

 納豆、どうやって食べていますか?
「ワタシャうんとかき混ぜて熱〜いご飯にのっけて食べるよ」
「僕は何といっても納豆汁ですね」
「わしゃあかき揚げが好きだがや」
「私、洗って戴きますの」
 最後の人、日本人やめなさい。
 とまあ、人によって好みは様々ですが、今回は生で(ナマというのもオカシイかな)食べる納豆の話を致しましょう。
 余談だが、僕はつい最近まで「納豆菌は熱に弱い」と信じていた。TVか何かでそのようなことを聞いたのだ。だから(本当は好きなのだけれど)納豆汁はけいして遠ざけて来たし、納豆のかき揚げも作るのをガマンしてきたのだ。
 僕の得ていた情報によると、納豆菌は摂氏60℃〜70℃で死んでしまうので、納豆汁などもってのほかである、というのだ。
 ところが最近の情報によると、納豆菌は熱に強いらしいのだ。
 どうなっちゃってんの?
 そう思って調べてみました。つまりこういうことです。「納豆菌は熱に強い」そして「ナットウキナーゼは熱に弱い」。そう、納豆菌=ナットウキナーゼではないのだ。納豆菌は細菌で、ナットウキナーゼは成分なのである。もっと言うと、煮た大豆に納豆菌を付着させることによって始めて納豆というものが出来上がり、大豆が納豆になって始めてナットウキナーゼという物資が生成されるのである。納豆がなくても納豆菌は存在するが、納豆がなくてはナットウキナーゼは存在しないのである。
 だから、加熱した納豆料理はナットウキナーゼの働きが弱くなってしまうが、納豆菌の効果は損なわれないのである。
 半分ホッとした。
 さて、納豆の食べ方である。
 納豆に何を混ぜますか?
 基本はからしとネギですね。他にも、もみ海苔や刻み海苔などの海苔系、オリーブオイル、ゴマ油などのオイル系、固形物だとキムチやウズラの生玉子などを混ぜても美味しい。
 僕が子どもの頃は納豆には、からしとネギを混ぜ、醤油をかけて食べていた。ところが今では納豆は、パックに付いているかつおだしの効いたタレとからしが主流である。これがスタンダードに美味しい。たべものエッセイの1にも書いたが、僕は納豆にりゴマを指でひねりつぶしたものをパラパラとかけて食べるのが好きである。パラパラどころかバサバサと大量にかけて食べる。
 そしてよくかき混ぜてから食べる。よくどころか、よくよくよくよくかき混ぜる。最低でも100回はかき混ぜる。時間にすると1分以上はかき混ぜている。
 納豆の糸が白くなり、大量発生して豆が見えなくなるまでかき混ぜる。
 これをおもむろに熱々のご飯に……乗っけないんですね、コレが。まずそのまま食べる。個人的にはこれを「納豆のおどり食い」と呼んでいる。
「納豆はご飯に乗せて食べるもの」誰もがそう思っている。だが実際、ご飯に乗せて食べると何とも食べづらい。熱々のご飯が糸を引いて唇の下にくっついたりする。
 ご飯と納豆の別食い、やってみると美味しいですよ。納豆の味濃厚、ご飯の旨味実感。ぜひオススメです。
 どうしてもご飯にかけたい時のオススメは「玉子かけご飯に納豆」である。これにも順序がある。
 まず、ご飯を用意する。ご飯の真ん中にくぼみを作る。そこに生玉子を割り入れる。そうしたら、白身を箸で切るように崩して個体の白身を液体に近づける。(既にこの時、タレとからし、ひねりゴマ入れてよく混ぜた納豆を用意しておく)
 ここからがスピード勝負である。黄身を潰し、黄身に醤油をたらしたら、ご飯をサックリと混ぜる(混ぜ過ぎはNG)。その上に、ダメ押しでさらに10回以上混ぜた納豆をトッピングして一気にかき込む。
 ああ、至福の時。極上の納豆飯にてござ候。

           ーENDー

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