見出し画像

たべものエッセイ 9

「マヨラー寄りの一般人」

 私はマヨラーではない。
 しかしマヨラー寄りである。マヨラーというと、何でもかんでもマヨネーズをつけて食べるというイメージだが、自分は何でもかんでもはマヨネーズはつけない。ただ、フツーの人があまりつけない食べ物にマヨネーズをつけて食べることがある。
 今ではすっかり一般的になったツナマヨおにぎりだが、僕は世にツナマヨおにぎりが出回るずっと前に、缶詰のシーチキンにマヨネーズをつけ、それをご飯に乗せて食べていた。
 マヨラーとマヨラー寄りの一般人との境界線はどこにあるのだろう? 夏になると中華料理屋さんなどでは「冷やし中華始めました」という貼り紙を出しているが、どこで「マヨラー始めました」となるのだろうか? 
 ちなみに、冷やし中華にマヨネーズをつけて食べると美味しい。チャーハンにもマヨネーズをつけて食べている。冷やし中華とチャーハンにマヨネーズをつける場合は、上からニョロリとかけるのではなく、皿のフチに出しておいて、箸やレンゲでちょっとマヨネーズをすくってから麺なり飯なりにつけて食べるのである。
 お寿司にもマヨネーズをつけて食べる。ただしこれは限られた ネタのみである。玉子、イカ、でエビなどである。スーパーでパック詰めのお寿司を買ってくると大抵この3つは入っている。この3つのマヨネーズのつけ方は上からである。ネタの上にニョニョッと出して食べる。それをさらに醤油につけて食べても美味しい。
「マヨネーズと醤油」といえば漁師めしでカツオの刺身を醤油マヨネーズで食べる、というのがある。これはまだ試していない。何となく一歩が踏み出せないでいる。ここいら辺がマヨラー寄りの「一般人」というところだと自分では思っている。
 お寿司ネタでいえば、これは恐らくほとんどの人がやったことのない食べ方だと思うものがある。それは「かんぴょう巻にマヨネーズ」である。僕は友人からこの食べ方を教わって以来、ことあるごとに周囲の人たちにすすめて来たのである。一口大に切られたかんぴょう巻のてっぺんに、さながらロウソクの火のようにマヨネーズをともすのである。容器の広口の方のキャップを開け、かんぴょう巻の頂上部に軽く押しつけながらマヨネーズを出すと、ロウソクの炎のような形になるのである。まさに「灯す」だ。
 これが実に美味しい。どれくらい美味しいかと言うと、僕は以前かんぴょう巻はあまり好きではなかった。出来れば避けて通りたい食べ物だった。ところがこの食べ方を知ってからというもの、わざわざかんぴょう巻を自分から買いに行くほどになってしまったというくらい美味しいのだ。
 あの甘辛く煮たかんぴょうと、少し酸味のあるマヨネーズの組み合わせが最強なのだ。僕はマヨネーズなしにはかんぴょう巻を食べられない。ちなみに、かんぴょう巻にはキューピーよりも味の素のマヨネーズの方が合う。
 ここまでしても僕がマヨラーではない理由がある。それはmyマヨネーズを携帯していないからだ。真のマヨラーは、その荷物の中に常にマヨネーズを携帯しているという。
 果たして僕はマヨネーズのボトルを懐に忍ばせる日が来るのだろうか?

          ーENDー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?