![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141199969/rectangle_large_type_2_59f06d56744e3c8c07aedb82b6d23ece.jpg?width=800)
個人的な藤の名所
山で藤を見かけると苦しくなります。
巻き付かれている木に感情移入してしまうからです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141200140/picture_pc_37f2e5190199e1b43f8900d3c8f0ae2b.png?width=800)
藤はツル植物。
ドライフラワーリース台の材料として、その色と太さから一番好きなツルなのですが、
他の木にツルを巻き付けて咲いているのを見ると、少し複雑な気持ちになってしまいます。
巻きつかれている方の木は痛んで、そのうち死んでしまうからです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141200185/picture_pc_5854d3d84c27ff32d9233e1e9a1b7ce1.jpg?width=800)
設計をご依頼いただいているお庭にも藤がありました。
「何かしておくことはありますか?」と持ち主様に聞かれた時
一番に「木に巻きついている藤を外してください」をお願いしました。
藤棚は安心して見ることができます。
人が管理している藤は、ただただ美しいと思うばかりです。
その棚も人が管理しなくなれば暴れてひどい有様になります。
「藤は人が管理してこその美しさ」
そう考えていた私にとって、驚くべき場所がありました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141200227/picture_pc_25fd8f10c9423caa75cac02ecb6571a4.jpg?width=800)
木に巻きついているわけではなく、廃墟に巻きついているのです。
建物は4階建てでしょうか。
非常階段らしき手すりにも巻きついています。
この建物に人がたくさん集まっていた時代を私は知っています。
その頃は当然、藤は巻きついていませんでした。
人が管理していない野放しの藤。
藤の特性から考えて、巻きついてのびている時こそ美しいのだと気づきました。
私にとって唯一無二の藤の名所です。
こちらの建物もいずれは取り壊されるのでしょう。
立て直されるとしても藤は剝がされると思います。
今のうちにどんどん暴れて大きくなればいい。
毎春この藤を見るたびに応援したくなるのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?