憲法草案〜第8(7)章 財政〜公の財産
現行憲法の公の財産
第八十八条
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第八十九条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第八十八条は、皇室の財産についてです。
第八十九条は、政教分離と信教の自由にたいし、財政面で保障しています。
靖国問題は厳然として残っていると思います。
自民党(2012年)草案の公の財産
第八十八条(皇室財産及び皇室の費用)
全て皇室財産は、国に属する。全て皇室の費用は、予算案に計上して国会の議決を経なければならない。
第八十九条(公の財産の支出及び利用の制限)
公金その他の公の財産は、第二十条第三項ただし書に規定する場合を除き、宗教的活動を行う組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため支出し、又はその利用に供してはならない。
第八十九条2
公金その他の公の財産は、国若しくは地方自治体その他の公共団体の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対して支出し、又はその利用に供してはならない。
第八十九条1項で「第二十条三項ただし書」としていますが、これは「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない。」であり、とても曖昧なものです。
また、「宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、」を削除することで靖国玉串料を正当化し、政教分離を破壊していると言えます。
独自草案の公の財産
第百四条
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第百五条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持、儀式、祭礼のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第百五条2
公金その他の公の財産は、主権者たる国民及びその権利である文化、表現、学問等に対し自由かつ平等に使われるべきもので、行政は、その内容に対し意見等をしてはならない。
第百五条1項には、「儀式、祭礼」を追加し、政教分離をより明確にしました。
2項には、「公金その他の公の財産は、主権者たる国民及びその権利である文化、表現、学問等に対し自由かつ平等に使われるべきもので、行政は、その内容に対し意見等をしてはならない。」とし、「金や場所は出すけど口は出さない」としました。
これは愛知トリエンナーレ問題を意識したものです。
行政が、国民の権利を侵害してはならないとの考えです。
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