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自分を知るという喜び

先週1週間は、公立高校入試直前であったりして、作文指導はお休みしていました。

随分間が空いたように感じました。

水曜日に、オンラインの子どもたちと、そしてきょう、リアルの教室ではじめて小学生の子どもたちに読書・作文指導をしました。

水曜日のことについて。個別対話の日で、小2の女の子と小1の男の子を別々の時間で見る予定でした。小2の女の子は、自分の読書を作文について対話をしたあとに、別のリクエストをくれまいた。それは、小1の男の子の時間に入って、話を聞くだけ聞いていたいという申し出でした。男の子に聞いてみてOKが出たので、男の子の対話の時間も一緒に過ごしました。


女の子は『きつねのホイティ』というお話。作文指導も4回目となり、ちょっと本格的に指導をしました。今の彼女の作文は、豊かな感受性の赴くままに、気づいたことをたくさん書き出すという手法なのです。いろんなことを感じているんだね、という想いと共に、読むほうからすると思考が散らばってしまって、実は印象に残りにくい、心に響きにくいものになっていました。ひとつの作文のなかに、5つほどエピソードが述べられていて、その中で一番本人の心が動いたものを選んでもらいました。それは、「登場人物の飼い猫が、面白くて変な顔で描かれていること」でした。「○○がしたことはいじわるで、ぜったいにゆるせません」とか、「○○はこんなことをしていて、しんせつだなとおもいました」とか、いかにも大人が好みそうな話題もほかにもたくさんある中で、彼女が選んだのは「飼い猫の顔が変で面白い」。大人の予想や期待に沿わない感じが超素敵。時間が迫ったので次までの課題として、「あなたにとって、おもしろいこと、へんなこと、笑うことってどんなものですか?それらがないとどうなると思いますか?」というテーマで作文を書いてもらうことにしました。

お次は男の子。前回から引き続き動物図鑑からカンガルーについての考察。アカカンガルーが最大のカンガルーなのに、オオカンガルーという名前のカンガルーがいることに疑問を感じた彼は、オオカンガルーについて調べてくれていました。体長ではどちらも互角、でも尾の長さや体の横幅ではアカカンガルーに軍配が上がるようでした。体長の定義も一緒に調べてみて納得。ここからは彼の考察です。初めて発見された基準になるカンガルーがいて、次にオオカンガルーと名づけられるカンガルーが発見された。それからしばらくして、本当は種として最大のアカカンガルーが発見された。名前も変えるのはややこしいから、少し矛盾しているけど名前はそのままになった。僕の考察も同じで、おそらく正しいのではないかと思います。ジャイアントパンダとレッサーパンダについても同様のことが起こっていて、人間の都合で命名されているので、矛盾も生じるんだろうとお話をしました。

最後のほうで、お話を聞いていた女の子から提案がありました。日曜日はみんなで集まって対話する場ですが、一度、同じテーマで作文を書いてみたいというのです。この提案のために、女の子はこの場にいたんだろうね、という、流れというか、必然性を感じました。次回の日曜日、それぞれの発表をしたあとで、テーマを決めたいと思いました。


ところ変わって、リアルの教室での初の読書作文指導。

高学年が多いのですが、やはり雰囲気がちがいました。子どものもつ感受性と、言語につなげるスピードが、素早くて、そのまま語っているという感じでした。低学年の感じている、言語化できないもどかしさや、有り余る感受性のカオスの中にいるという感じもなく、大人にあわせた回答をしようという雰囲気もなくて、また違う心地よさがありました。

ある女の子が、砂時計ができるまでという文章を読んできて、それについて書いてきた作文がありました。初回ということもあり、ひとつのテーマにしぼるというより、やはり思いついたことを書き出すメモ状態。ここから、同じようにどれが一番心が残ったか聞いてみました。「砂時計がきちんと時間を計れるように、砂の粒の大きさがそろえてあることが、すごいと思った」を彼女は選びました。そこから、砂ってどういうもの?と聞くと、「小さすぎてよくわからないもの」「それをそろえられるのはすごいなと思う」「私にはできないことだから」と言葉が続きました。「自分にはできないことをできている人のことを、すごいなと思うんだね」と伝えると、「うん、すごいと思う。それに、自分もできるようになりたいと思う」と話してくれました。砂時計の粒をそろえる人ってすごいな、という他人を見つめる観点から、自分もできるようになりたいという想いを見つけられたとき、彼女はこういいました。「作文でこんな話すると思ってなかった。自分の作文上手と思っていなかったから、怒られるかもと思っていたけど、できるようになりたいんだって、気づいて、嬉しかった」

一緒にいた子どもたちにも、こういうことが見つかっていくし、きっと面白いから、みんなで一緒に作文をやっていこうねと話しました。作文と聞いてしり込みしていたほかの子どもたちも、こういう感じでやるんだ、と安心してくれたと思います。ほっこりした時間でした。



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