三人寄れば

やっぱり、違う価値観を持つ人とお話しするのってすごく刺激的なことで、自分の価値観も広がるし、世界を見る視点が変わるきっかけになります。

ついさっきまで、小学生ふたりと読書・作文指導のオンラインでの対話をしていました。

今日はじめて参加した子は、日本の歴史についての本を読んでいて紹介してくれました。弥生時代のところを紹介してくれて、今から2千数百年前という昔からお米が作られ始めたこと、農耕のときに工夫された道具についてたくさん語ってくれました。

「今も食べているお米は、弥生時代に作られていなかったら、今食べられない。弥生時代から子から子へと受け継がれてきたことがすごいなと思う」

僕はこの言葉に度肝を抜かれました。知識として知ってはいるし、歴史って大事だよね、伝承って大事だよね、という気持ちも僕の中にあったはずなんです。でも、その子のまっすぐな思いを乗せて発せられた言葉に、「後世に伝えていくこと」の大切さに対して自分の認識を一度ぶち壊されて、世代を超えてつながることの尊さがもろに響いてきた感じでした。

続けて、僕はその子に「後の時代にも伝えていきたい、残していきたいことはある?」と尋ねました。すると、「やっぱり田んぼだね。」と即答されました。弥生時代から現代まで続いてきた食の中心であるお米を作る場。北海道でも九州でも日本ならどこでも食べているお米。田んぼは大事。ということを語ってくれて、「あとは、家!かわらの屋根でできた家!ああいう家は、他の国にはないもの。」海外で生活したことのある彼から見た、日本の魅力なのかもしれません。

今回のお話した中で、自分にとって大切だなと思う言葉を選んでもらいました。「受け継いでいくこと、残していくということ」

年齢は関係ないとはいえ、小学1年生から、きょうもたくさんの刺激を受け取りました。

彼の言葉からは、今日本で暮らしていることや、自分のアイデンティティの背景などを肌で感じて骨身にまで染み入らせているような、気高さを感じました。だから、僕からは彼に、「誇り」という言葉を感じたよ、と伝えました。


もうひとり、小学2年生の女の子。前回、作文の書き方としてアドバイスしたことを受けて、とても丁寧に文章を直してくれて、聴いていてもわかりやすい文章になっていました。

前回、その子とのお話の中で残っていたこと。どうしてねこは最後に涙を流したのか。

その子が読んだお話について説明してもらうと、登場する子ねずみたちは、ねこが自分たちを食べる生き物ということを知らず、その無邪気さのまま一緒になかよくするように接していきます。何度も何度もねこは子ねずみたちを食べようとしますが、失敗してしまい、最後は「またね~!」と子ねずみたちと別れ、挿絵で涙を流しているそうです。

前回のところでは、「食べたかったねずみを食べられなくて、悔しかったから」という感想を述べていた彼女。僕はそれに対して、「もし、そうだとしたら、ねことねずみの関係は、変わっていないと思う。ねこにとってねずみはあくまで食べ物ってことになるけど、本当にそうかな?そういうことを伝えたいのであれば、作者の人は、ねこがねずみを食べる話を書けるんだよ?きっと、そういう気持ちもあったと思うけど、別の気持ちもあるんじゃないかな?」と僕なりの考えを伝えました。

今回、新しく小1の男の子が入ったことで、前回までの経緯を伝えて、なんでねこは泣いたのか、意見を出してもらったところ、「ねことねずみは仲良くなったんでしょう?仲良くしていたのに、ねずみが帰ることになったから、ねこは泣いたんじゃないのかな」

正直、僕は自分の中で解釈をしきれていなくて、ただ、ねことねずみの関係は変わったはず、それゆえの涙のはず、という思いを持っていて、これが正解!みたいなものをもって、前回彼女に意見を述べたわけではないんです。

でも、この言葉を聞いてとてもしっくりきて、「さみしい」って言葉に置き換えてもいい?と聞いて、三人で納得できました。

きっと、ねこのプライドとして子ねずみを食べられなかったことに対する悔しさもあると思います。そして、複雑な気持ちとして、仲良くなった子ねずみたちとの別れに対して寂しさもあったはず。それが同居している状態というのもイメージできる。

こう伝えたとき、ふたりとも感情というのは同時にひとつでなくていろんなものがまざって存在するということを理解していて、僕の意見に共感してくれたところが、やっぱり子どもって体感が素直で、ひとつの意見に固執しないし、柔軟に物事を受け取るんだなと感じました。

ふたりはとっても愛情深く育てられていることも伝わってきて、そんな二人と一緒にお話できて、素直にほっこりしたり、僕自身の価値観も激震した時間でした。


写真は、3匹動物が集まっているものがいいなと思って、選びました。

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