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いまさら、CHVRCHES(チャーチズ)

CHVRCHES(チャーチズ)は、スコットランド出身の4人組の音楽グループである。1枚目のアルバムを出したのが2013年、そこから2020年上半期の現在に至るまでに合計3枚のアルバムを発表している。
ジャンル的にはシンセポップとかそんなところであろう。
2020年は新譜が出ていない当バンドであるが、なんとなく語るのは今であると感じた(理由は後述します)ため、今回、僕が感じている彼らの魅力について語っていく。

メンバー

あんまり〇〇○ぺディアみたいになっても仕方ないので、過度な説明はしないが、軽く、メンバーを紹介しておこうと思う。メンバーは4名である。

・Lauren Mayberry

リードヴォーカル、時にシンセサイザー等を務めるフロントマン。日本でのプロモーションが盛んだった2015年くらいまでは、日本においてはそのルックスが先行して人気になっちゃって、サウンド自体の良し悪しについてあまり語られなかった印象があるが、兎にも角にも彼女の歌声はCHVRCHESの大きな武器の一つ。どうやらドラム等のリズム畑の出身らしい。

・Martin Doherty

主にキーボードやサンプラー、ギターなどを演奏するが、アルバム毎に彼のボーカル曲が収録され(サザンでいうところの原坊的な?、いやちょっと違うな)、ほぼ全てのライブでマーティンが歌うセクションがある。低音での歌声はローレンとは対照的でアクセントとなっている。ちなみに、ライブでは毎回自分のボーカル曲でブチ上がってて楽しそうにしている。クリスマスイブ生まれ。

・Iain Cook

超マルチプレイヤーであり、ライブでは、シンセやキーボード、ギター、ベースなど基本、現代音楽の楽器ならなんでも担当しているイメージである。インスタのアカウント名は@thecooksan。ライブでも積極的に喋るイメージはそんなになく、インスタの投稿も多くないので実態が掴めないが、なんとなく僕自身はこの人推しである。

・Jonny Scott

まさに、Drummer for CHVRCHES. オフィシャルでは2018年以降のサポートメンバー的な扱いとなっているが、僕自身は彼を正規メンバーと捉えた方がいいと感じている。ドラマーとして実にチャーチズを支えている彼であるが、最近の動画でベースを弾いてるところを見てしまった。

個人的な出会い

バンド名自体は、2015年、2ndアルバムの"Evrery Open Eyes"のプロモーションの際に認識していたが、ハマったのはその翌年。当時の日本に遅れてやってきたEDMブームに嫌気がさしはじめていた僕は、パラモアのHayley Williamsがフィーチャーされた"Bury It"をJ-WAVEかなんかで聴いたことで、その非EDM的な電子サウンドに魅了され、そこからのめり込んでいった格好である。

代表曲"The Mother We Share"

ここからは、個人的に思う彼らの魅力について、いくつかの視点から語っていこうかと思う。

まずは、なんと言っても1stアルバム『The Bones What You Believed』の一曲目である、"The Mother We Share"に触れずにはいられない。
この曲はよくも悪くも現在までのチャーチズを代表する一曲であり、一番聴かれている曲である。印象的なイントロから始まり、エモーショナルなサウンドと単純ながらも心地よく漂う低音。はっきり言って傑作といえる楽曲である。
1stアルバム、とりわけこの一曲目の"The Mother We Share"の持つサウンドこそ、人々にチャーチズというバンドがどういうバンドかを認識させ、イメージを方向付けた。そして、これ以降、2018年に3枚目のアルバムが出るまでは、この曲が多くのライブで締めの楽曲となっていた点も記述しておきたい。
とにかく聴いたことのない人は一度聴いて欲しい。

2ndアルバム『Every Open Eye』

前述のように僕自身がチャーチズにハマったきっかけはこのアルバムの楽曲であり、実際、個人的には1枚目よりも好きな楽曲が多い。
アルバムの題は直訳して、「各々の開いた眼差し」
僕自身英語ができないので良くわからないが、自分たちの音楽が多くの人の期待やプレッシャーである「目」に見られている、聴かれているということを意識し、この題名になったようだ。
実際、このアルバムは1枚目よりもクリアで万人受けのしやすいような音作りとなっている。歌詞も、人々の共感を得やすいものとなっていて、恋愛に限らず、日々の生活に出てくる感情が芸術的に表現されている。
アルバム自体、一つの作品としてまとまっていて、常に聴く時はシャッフルなどせず、頭から聴くのが正しい聴き方であろう。
個人としては既述の"Bury It"の他に、後半の疾走感がたまらない"Clearest Blue"、そして得意な雰囲気を持つ"Afterglow"が特に好み。"Afterglow"自体は最初はアルバムに入らなかったかもしれなかったようだから、入れてくれてありがとうという感じ。

3rdアルバム 『Love Is Dead』

2018年、チャーチズにとって3枚目となるアルバムのリリースがあった。
(この頃はすでに僕もチャーチズのファンだったんで、この頃は非英語話者なりに比較的、正確に語れる気がする)
アルバム解禁前、3枚目はこれまでよりもポップに寄ったサウンドになるとのアナウンスがあった。これを聴いた僕は2枚目までのインダストリーな感じ(まじで語彙力ない)が好きだったため、正直このアナウンスにはあんまり喜べなかった。
しかしながら、実際に音源が解禁されると、その不安はどこへやら。
まさに彼らのロールモデルである往年のポップスターたちのスタイルを彼らなりに吸収し、UKで多く聴かれるような欧州風漂うエレクトロやダンスやUSのヒップホップベースの打ち込みミュージックとは一味も二味も違うポップスに対する一つの答えになるようなサウンドを作り上げてきたのである。
それまでの電子バンドとしての顔を保ちつつ、きちんとポップスもやるんですよ、できるんですよという姿勢を見せたことで、チャーチズに対する人々の印象は変わり、2枚目以上に大衆受けのしやすいアルバムとなった。
また、前述の"The Mother We Share"に変わって3枚目からの"Never Say Die"がライブの締めを担うようになったという点。これも、彼らにとって新しい代表曲にふさわしいマッシヴな曲ができたぞ!という自信の現れであろう。(実際名曲。)
個人としてはこのアルバムでいくと、IIからのWonderlandの流れ(特に後半の疾走感)が唯一無二でとても好き。このアルバムもど頭から聴くとより良さに気付きやすいと思う。

Scottの加入とライブバンドへの成長

2018年、3枚目の発表に際して、サポートメンバーのJonny Scottの加入がアナウンスされた。
僕は3枚目発売以前から、受験勉強をしながら、彼らのライブ映像をYouTubeで観るのが好きで(沢山あがってるので観てみてください)、オリメンの3人でのライブがすでに非常に高水準であることを知っていた。
そのため、正直、彼の加入に懐疑的であった。
が、しかし、いざ、彼が生でドラムを叩いているライブの映像を観ると、いつにも増して音の厚みが増し、それこそ当バンドが目指すポップスに近づいたサウンドが実現されており、すっかり自分はいつになく感動してしまった。
よって、Jonnyの加入はCHVRCHESのサウンド面の可能性をさらに大きくし、ライブバンドへ成長させた

駄作?"Here With Me"

ここまではCHVRCHESをHUGE FANの一人として、各アルバムを褒め称えてきたが、もちろんあまりしっくりきていないという曲もある。
それが、2019年頭に出た、Marshmelloとの共作曲、"Here With Me"である。

事実としては、チャーチズが携わった中で最も売れたのがこの曲であり、これで英国内外両方での認知が高まったし、曲自体もマシュメロらしいエモさとチャーチズのサウンドがマッチしていて良かった。
しかしながら、問題はそのあと。マシュメロが女性への暴力をおこなった過去のあるTygaやChris Brownとの共作曲を出したのである。このマシュメロの行動について、チャーチズは彼を牽制。友人あるいはビジネスパートナーとしてマシュメロとの良好な関係を強調しながらも、次の共作相手としてタイガやクリス・ブラウンを選んだことはよろしくないと主張した。

チャーチズファンである自分からすれば、この一連のマシュメロの行動を知った後に、この曲をすっきり聴けるかというとやっぱりそうではない。
前述の通り、この共作曲はチャーチズをより有名にしたのだけれど、既存のファンの心情を少しモヤモヤさせてしまったこともまた事実であろう
僕なんかリアーナ大好きなんで、クリスブラウンはどうしても好きになれないし。

ライブへ行った感想

少し、駄作についての文を書いていて苛立ってきたので、僕が彼らの魅力を最大限に感じた出来事について書こう。それが2019年3月の豊洲
先述の通り、以前よりチャーチズのライブをYouTubeで観ることが趣味だった自分にとっては、念願の初生チャーチズだった。
3rdアルバムのツアーの一環だったので、セトリは3rdアルバムが中心で、その他に1枚目と2枚目からバランスよくという感じで、前年のフジロックのとだいたい同じだったため、曲順の意外性などはなかったが、このライブでは、イメージが変わったことが一つあった。
それがローレンの歌唱力である
。以前見ていたYouTubeの映像では音程○声量△という感じだったのだが、実際に生で見ると本当に声が通ってて本当に驚かされた。
最後の締めも"The Mother We Share"からの"Never Say Die"というばっちりの構成であり、いい気持ちで豊洲PITを出たのを鮮明に覚えている。

なぜ、今CHVRCHESなのか

この記事を書いているのは2020年の上半期終盤である。なぜ、今僕が彼らの記事を書くのか。まず、大きな理由としては僕が彼らのファンであるからということがあるし、好きなものを広めるのに遅すぎることはないであろう。
そして、もう一つの大きな理由は、彼らのサウンドが今後の2020年代に案外マッチするのではないかという気がしているからである
今の英語圏のメインストリームはラップ。ラップというのは、社会や文化の変遷の歴史の中で生まれた音楽であり、過去の流行からの引用、サンプリングも多いのが特徴。その流行を追うように、現在、下火になりつつあるポップスも過去のリファレンスをむき出しにした曲がだんだん評価を得るようになってきている。(Dua Lipaやthe Weekndとかは特にそう。)
こう言った中で、既述のように、チャーチズは、年々、過去の自分たちのルーツを大きく取り入れながら、大衆に受けるポップスをやるようになってきており、今の流行、もっと言えば文化的に重みを持っていると言われるサウンドとの親和性がどんどん高くなっているような気がするのである。
これは売れるか売れないかの予想ではなく、もっと彼らの音楽が文化的に高くある意味ではスノービッシュなサウンドとして評価がより高まっていくのではないかということであり、もしそうなれば、ファンである僕としては人生面白くなってくる。
また、最近は映像のストリーミングサービスが盛んであり、チャーチズもネトフリの東京テラハ(ちょっと大変なことになってるけどね)やスペイン語圏のELITEというドラマシリーズのタイアップを獲得したりしていて、そう言った非英語圏のところからより大きなファンダムが形成されることもあるかもしれない。

売れるか売れないかみたいな話になってしまっているが、とにかく彼らの音楽は素晴らしいので、今後、もっともっといろいろな人に聴いてもらいたいなと思う。
てか、3rdアルバムが英国でも全然プッシュされず、大して評論家の評価がなされてなかったことが結構むかつく(泣)



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