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2021年に転機を迎えるLittle Mix(リトル・ミックス)について-これまでとこれから-

いちへい

先日、リトル・ミックスが2021年ブリット賞のベストグループ賞を獲った。
ブリット賞はグラミーよりもずっとまともな賞なので受賞は大変すごいこと。
でもまあもう何年も前からリトル・ミックスが世界で一番すごいグループだったのだから、この事実がやっと記録になったと言い換えることもできよう。
実際、彼女らの受賞のニュースを聞いた時はMixer(リトル・ミックスのファンの意)である自分も心底嬉しかった。

そこで今回はこの嬉しさをモチベーションに、ファンの視点からこれまでのリトル・ミックスとこれからのリトル・ミックスについて、つらつら徒然なるままに書いていこうと思う。

これまでのリトル・ミックス-世界ナンバーワンを手にしてから-

まず、当グループについて、Wikiみたいにはならずとも、重要な事実を整理しておく。

導入でも書いたが、このグループは現在、世界でナンバーワンのグループであるが、この「ナンバーワン」を名実共にしたのは2016年リリースの楽曲"Shout Out To My EX"がきっかけである。

この楽曲はメンバーのペリー(Perrie Edwards)の失恋を元にした曲なんだけど、単なる失恋ぴえんぴえん曲じゃなくて。
まず大前提としてその失恋のお相手が1Dの元メンバーだったこと、さらにペリーがお相手に相当振り回されて失恋したということが重なって、ゴシップニュースでも大きく取り上げられ、ペリーに相当な憐れみが向けられる格好となった。
でもそこで彼女たちは塞ぎ込んだりせずにその失恋をネタにする曲を出したもんだから、「え、メンタルつよww」とゴシップ大好きな大衆はもうひたすら拍手喝采。そういった話題性とともに英国内外にどんどん波及して現在のような認知度を獲得した。

そんな人気大爆発から既に5年近くが経ったわけであるが、その後はどうなっているのか。ファンとしてはあまり言いたくないが、そこまで絶好調という感じではない。
ここで、「売れる」というのは、一般に楽曲の発表やライブでのパフォーマンスなどを契機として新しいファン層を獲得する又はファンやリスナーの数を著しく増やすことだと思うが、その定義と照らし合わせても今のリトル・ミックスはそこまで売れていないと言えてしまう
確かに、既存のファンは新曲出るたびにTwitterで騒ぐし、リトル・ミックスの運営(?)はちゃんと力を持っていてBBCやCapital FMのラジオでも必ずかかるし、Spotifyの新曲プレイリストにも毎回載るから売れているような外観だけあるんだけど、大体の大衆は「リトル・ミックスといわれれば顔はわかるし曲もまあ聴いたことあるはずだけど詳しくは知らないわ」みたいな感じになってしまっているし、5年前に"Shout Out to My EX"で大騒ぎしたティーンも「"Shout Out to My EX"とか"Power"とかはMy プレイリストに入ってるけど、今の曲は知らない。それよりドレイクとBTSとBLACKPINKサイコー!」みたいになっているはずなのだ。

このように2016年の知名度大上昇以来英国あるいは国外でそれなりに名の知れたグループにはなったけど実数としての人気は頭打ち気味に。
実際、メンバーたち自身もかなりストラグルしている様子だった。

そしてこうしたストラグルの中で、さらに追い討ちをかけるように訪れたのが2020年終わりのジェシー(Jesy Nelson)の脱退だった。

彼女はメンタルヘルスの問題でグループを去ってしまったのだが、これはどうにもこうにも辛い問題で、人間は皆違って皆良いのだから、一人の人間がいなくなった穴というのはいくらグループであっても埋められるものではないし、それも10年近く歩みを共にした仲間がいなくなってしまったから相当しんどい出来事だった。
(ジェシーは本当に"Born without  a zip on her mouth."な感じも堪らないし、歌唱では高低音でどっちも魅力的な音が出せるスーパースターだっだけにグループでずっと歌って欲しかったんだけど、、惜しい。)
負債と言いたくはないけれども、グループとして一生拭えない事実が上記のストラグルの中で生まれてしまったわけである。
(ちなみに、ジェシーは一人で活動再開しているので応援してます。レーベルとも契約したし。)

よって、確かに世界で最もセールスの多いグループであるリトル・ミックスであるのだけど、ここ5年はファンとしてもどうしても熱狂しきれない感じであったというのが客観的な言い方になるだろう。

転機を迎える2021

上記のように、人気の頭打ち状態を数年長らえた挙句、今年に入って一人の仲間との別れを経験した当グループであるが、2021年の彼女たちを見ると必ずしも悲しいことばかりではない。

まず一点、先にも触れたが英国で最も映えあるブリット賞のベストグループ賞を獲ったということはかなり大きな財産になったはずだ。
今までは確かに人気の頭打ちにも悩ませられたけど、ここで一つプロップスを得たことでファンとしてもメンバーとしても何かみんなが安堵した感じがある。
そして、(あんまり自分はジェンダーでくくるということは野暮だなと思うので、あえてここまではグループの前にガールという言葉をつけてこなかったが、)ガールグループとしては史上初の受賞であったので、これって超超超すごいことなんですよね。

そして、もう一点、メンバーのレイアン(Leigh-Anne Pinnok)とペリー(Perrie Edwards)がほぼ同タイミングで赤ちゃんを授かったということもまた大きな嬉しい出来事。
まあ、応援している人が一つの幸せを掴むというのは、ファンとしてはまずもう絶対的に嬉しいことなんだけど、
先日のブリット賞受賞のスピーチでお二方は大きなお腹を抱えながら「歴史つくりましたー!」とか言ってて、もうそういう姿にもう感動させられてしまうわけである。

以上のように、前項で触れたジェシーの脱退を含めて、2021年、リトル・ミックスは良い面でも悪い面でも、かなり転機を迎えているということがいえよう。

これからのリトル・ミックスはもっと面白い

これまではリトル・ミックスの2016年以降について主に事実を整理してきたが、今度は、これらの事実を目の当たりにしてきたファンの目線で、彼女らの何が面白いのかあるいはここから何が面白くなっていくのかについて、つらつらと書いていく。

○超・ガールクラッシュのフェーズへ
これまでのリトル・ミックスは2010年代の英国ティーンのガールクラッシュの一翼を担っていた。
彼女たちがやってきたことは、女性の思いを代弁し、女性の憧れの存在となること。特にこの人たちが得意なのは赤裸々さで、失恋も全然曲にしちゃうとか、女性でもExplicitなことなんかも全然歌っちゃうよとか、家事出来なくてももええやんかとか、そういうティピカルな女性像を壊していくことを積極的にやってきた。

しかし、この度、メンバー二人が赤ちゃんを授かって、色々メンバー自身の状況が変化した。
表現主体を取り巻く状況が変われば、生み出す表現や歌われる内容はおそらく変わっていくわけで、「今までの若いティーンを惹きつける」という従来のガールクラッシュ的アプローチから、「エンゲージメントをして子供を授かったメンバーのいるグループが何かを発信する」という新たなアプローチへ、表現が新たなフェーズに行く蓋然性は高い。
昨今流行りの"ガールクラッシュ"文化には女性やその他多様なジェンダーの社会進出を応援する側面が含まれているわけであるが、こういうエンパワーメントを一段と違う主体性と説得力を持ってやってくれるとなれば、そんな素晴らしいことはないであろう。そんなグループ他にいないしね。
前人未到のいわば"超・ガールクラッシュ"のフェーズへ。ステージでバキバキに踊って歌った後に、育児に励むスーパーお母さんの姿をファンに見せるのもありだし、母親だろうがまだまだ恋愛の曲歌いますよでもいいし、どんなことをしてもチアフルなものを与えてくれるのではないか、ファンとしてはそんな期待を寄せてしまう。

○コミュニティを背負うグループとして
女性の思いを背負う、それが更なる次元に達していく、ということはすでに述べたが、他方で別のコミュニティをも背負っていくのもリトル・ミックスである。
例えば、兼ねてからメンバーのジェイドはLGBTQ+と関係性を近くしていて、まだまだ不自由なことも多いコミュニティをポップシーンから支えていくということができる。

また、レイアンの出自はジャマイカ系である。昨年はいわば第二次BLMが盛り上がって、第一次と違ってそのムーブメントは米国外でも広がった。これは例に漏れず英国にも波及したわけだが、英国での抗議にはレイアンの姿があった。英国のブラックの人は、米国とはまた違う経緯でやってきた人が多くて、米国とはまた事情が違うんだけど、英国に住むブラックの人としてどういったことを表現として発信していくのか、彼女自身、そういうことは常に背負ってもがいている。
実際、この度、レイアンはBBCでドキュメンタリー番組を始めていて、こういう風に矢面に立って、自分の出自と向き合っていくのって言葉にできない大変さがあると思うんだけど、そういうの全部背負っていくんですよ、レイアンは、、まじですごいです。

○英国サウンドを広めるグループとして
英国の音楽って正直ずっと面白いんですよ。
90年代以降のダンスミュージック群、そこから派生したグライム、さらに米国から持ってきて独自発展させたUKドリルやらUKでのトラップ、そして忘れてはならないジャマイカ由来のルーツレゲエやらダンスホール、そして時としてアフリカや西語圏からやってくるアフロビートやらレゲトンやら、とにかく色々なサウンドが輸入され輸出され、多様なサウンドが英国のシーンを盛り上げている。

リトル・ミックスは、その英国で、それらの多様なサウンドをグループとして表現してきたアーティストであり、ここが他の例えばBLACKPINKだったりとは大きく違うところ。
BLACKPINKというのは、英語圏でいかに売れるかということでサウンドを作っているので、「ラップを混ぜたダンスミュージック」をシグネチャーとして割合その範囲を出ない音色を作ってくることが多いし、BTSだって「カルヴィン・ハリスのFunk Wav Bounceシリーズ的なファンク/ブーギーな音色」をシグネチャーにして、その範囲をあまり出ないわけで。
でもリトル・ミックスはレペゼン・英国なので、「リトル・ミックスといえばああいうサウンドだよね!」みたいなのはない代わりに、英国のシーンを代表するサウンドならなんでもやっちゃって、英国内外に広めることができるのである。
だから例えばグライムがアンダーグラウンドシーンで今まで以上に盛り上がってるのが分かったらStormzyにすぐにオファーかけて自分たちのファンにはグライムを聴いてもらう、そしてグライムのファンにも自分たちの曲を聴いてもらうみたいなことをすごく柔軟にやるんですよね。
今の英国を代表するサウンドはこれですよ!という提示をしてくれる、そういう国家レペゼン的なグループとしても魅力的なのがリトル・ミックスなのだ。

こういうのは、やっぱりグループでいるというのがすごくデカくて、多様なサウンドをやろうとしても一人だと能力の問題でなかなかできなかったりするんだけど、ここの低音とラップはレイアン任せた!とか、ここはジェイドにしっとり歌ってもらおう!とか、ここの歌い上げはペリーおなしゃす!とかそういうのが柔軟にできるので、その分サウンドの守備範囲も広くなってるんだと思います。
そもそも、イギリスではグループでメインストリームの音楽をやってるアーティストの絶対数が少ないんで、それだけでも希少なんだけど。

とにかく、リトル・ミックスはポップグループとして前人未到の域に達しているという事実と、メンバーの能力や人柄もこれまた一流であるという事実からすれば、2021年の一連の転機を迎えた以後はさらに面白いグループになってくれるはずである。

そうは言っても彼女たちに期待をかけることは本当にいいことなのだろうか

(重いので飛ばし読み推奨、でも実は一番言いたいこと)
ここまで、リトル・ミックスは人気は往々にしてありながらも特に2017年以降は苦労する部分も多かったこと、そして今年2021年までには、ジェシーの脱退やメンバー二人の妊娠、ブリット賞ベストグループ賞の受賞とかなり転機を迎えていることを確認し、その事実を受けて改めてリトル・ミックスにどんなことが期待できるのかをファンの目線で書いてきた。

しかし、ファンの期待の声さえもアーティストに何かしら気負わせてしまうのではないか、リトル・ミックスを応援しているとそういうことも考えさせられる。

例えば、ファンがファン心から「このアーティストは強い女性を体現してくれるのがほんと好き」というような言葉をSNSなどアーティストの目に入る場所で言ったとしよう。
そして、もしアーティストがそのコメントを見たらどうだろう。
全く攻撃的な言葉じゃないし褒めてさえいるんだけど、「あ、自分はやっぱ強くいなきゃいけないんだな」とか思わせて、本人に何らかの縛りを与えてしまうような気もする。
「それは有名人として表に立つ人ならしょうがないじゃん」と思う大衆も多いだろうし、「有名税だ」と割り切ってる有名人もいるだろうけど、それでもやっぱり有名人とて人間だし、なるべく他者によって縛り付けられて人が苦しむっていうことは無くしていかなければいけないことは確かで。

実際に、リトル・ミックスのことに話を戻せば、ジェシーが辞めた理由が「グループにいるとプレッシャーを感じてしんどいから」というものだった。
この事実を知ったときに、自分のファン心をそのままに伝えることが必ずしもアーティストの助けになるわけではない、ということに気付かされてしまったんですよね。

そういうところでいくと前項で書いたような一見ポジティブな期待でさえも、メンバーの目に入って仕舞えば、メンバーを何かしらの形で縛り付けてしまうかもしれない。そういう意味では、前項でまとめた社会的期待なんか無視してくれても構わないんですよ。お子さん産んでから長く休んじゃってもいいし、ティーンの女性などさまざまなコミュニティーや英国を背負ってるとか言ったけど、メンバー自身が「背負うことにもう疲れたわ」とかって言ってくれたって構わない。とにかくリトル・ミックスの3人とジェシーが幸せならなんでもいいんですよ。

だから、ファンが持つべきアティチュードというのは、「表ではメンバーの幸せを願うだけにして心の中のみでちょっとだけ前項で書いたような期待をしつつ、そこで最高な新曲が出たらちゃんと最高だよって伝えて新曲に合わせて踊り狂う」みたいな、そういう感じがいいのではないかなと、
まあそんなところまで考えさせられるわけです。

結局、何が言いたいかといえば、こういう難しい問題を生き様をもって示してくれるリトル・ミックスは強くてしなやかで本当に素晴らしいグループだってことに落ち着くんですが。

みんな、強いリトル・ミックスからパワーをもらおう!

さあ話が散らかったけれども(平常運転)、この記事の主題はファン目線でリトル・ミックスの魅力を伝えること。
リトル・ミックスが今までやってきたことを一言で表せば"エンパワーメント"で、実際に今の今まで色々なものを背負って、強く表現してきてくれた。しかも、そのエンパワーメントにもバリエーションがあって、めっちゃチアフルで力を与えてくれる曲、失恋した時に寄り添ってくれるような曲、どんな自分でもかっこよくて美しいと言ってくれる曲、とにかく聴いたら踊り散らかせる曲などなど、色々な形があった。
力を注入してくれたり、ガス抜きをしてくれたり、前項の話じゃないけどその生き様を通して気づきを与えてくれたり、様々な角度から色々なものをもたらしてくれて、そしてそれが恋愛みたいなパーソナルなトピックであったり、時として上記のような社会問題を突きつけてきたり、そこもアットランダムで非常に面白くて。(時に応援していてしんどい時もあるけど)

グループやバンドの形態を成したアーティストの中でこういう事がやる/できるのは今世界のどこを見渡しても他にはいないので、
ぜひ、リトル・ミックスを聴かないでお馴染みの日本語圏の皆さんにももっと聴いて欲しいわけです
(日本語圏に住む中で、自分と同じくらいかそれ以上の熱量のあるリトル・ミックスファンに出会ったことないんで、本当にもっとファン増えて欲しい、、)

今回はいかに社会的/文化的に彼女たちが素晴らしいかというアプローチで書いてきたけど、歌詞のメッセージとか他所にしても、まず楽曲聴いたらサウンドと歌声に絶対痺れると思うので、まずはこんな長ったらしい文章など読んでいないで、下のプレイリスト(怒涛の30曲!)やらライブ動画やらにアクセスいただければと思います。

なにはともあれ、リトル・ミックス最高!


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